第21話

ノックをした後に気づく。



王子の靴の有無。




あったっけ?


なかったっけ?


いるんだっけ?


いないんだっけ?




ていうか何て言えばいいんだっけ!?!?




パニックに陥って一焦り。



鼓動も呼吸も一段と激しくなり、バクバクで前が見えない。



「う゛…」



あたしは胸を押さえ、肩が揺れるほどの呼吸をして、廊下にしゃがみこんだ。



こんなに緊張するのは、きっと初めてだから。



こんなに不安になることや、王子へあんな態度をとったことが初めてだったから。




これが、恋?



一喜一憂してしまったり、ひとつのことを伝えるために緊張したり、自信なくしてしまったり、気にしなくていいことを気にしてしまったり─…




あぁ


そう思うと心の中が明るく変わる。



恋してるんだ。



一生懸命恋してるんだ。




胸は拍車をかけるように力いっぱい王子を想い、心の中を耕していく。



そう思うと何でもがんばってやるって思えるあたし。




これが恋の



パワー…?

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