第20話

マミヤちゃんがエレベーターを降り(「ファイト!」と笑顔を見せていた)、いよいよあたしは決戦のときがやってくる。



ドクン


ドクン



胸の鼓動は高鳴り…



チーン



「Σ!!」



レトロな音が響くだけで、あたしは飛び上がるほど驚いてしまった。




バクバクバクと鳴る左胸を押さえ、あたしは扉を開けた。



キィー…



鈍い音がフロアと玄関に小さく響いて、あたしは視界が狭まっていく。



緊張するってこういうことなんだ。



見えてるようで見えてなくて、聞こえているようで聞こえてなくて、自分でも驚くくらい「無防備」になっているんだ。



もしも大草原、サバンナの真ん中に置き去りにされていたなら恰好の餌食。



頭の中はソノコトに対して集中しきっていて、体の五感を封じてしまう。




『気になるの。克穂と蜜ちゃんのこと』



あたしの一番の気持ち。



言うんだ。ちゃんという。



恥ずかしいけど、きっと大丈夫。



大丈夫だよってマミヤちゃんが言ってくれると本当に大丈夫な気がする。



安心できる。




─コンコン─

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