第18話
マミヤちゃんがそんなことを真剣に言っているから、あたしは拍子抜けして軽く咳き込んでしまう。
「克穂様の可愛い悪戯にもその輝く瞳で立ち向かう、そんな千亜稀ちゃんが千亜稀ちゃんらしいのです。落ち込むこともたまにはあると思いますが、うじうじしていては千亜稀ちゃんの善さが隠れてしまいますわ」
あたしはその言葉に世界を見失った。
真っ暗闇に取り残されて、右も左も見えない。
するとどこからかぼやっと白い光が筋をなし、あたしの前に明かりを照らす。
目の前に女神様のような神々しいお方が君臨している。
女神はあたしにそっと呟いた。
『印した道しるべを探しなさい』
すっとあたしの背のほうを指差し、微笑んでいる。
『はい、女神様…』
不思議な幻想世界を思いながら、あたしはコクリと頷いた。
途端に世界が色味を取り戻し、目の前には大きめなカールのマミヤちゃんが笑っている。
あたしは照明が落ちたのではないかと天井を見上げた。
「さぁ帰ってその疑問をぶつけてしまいましょう」
やさしい笑みを浮かべて、マミヤちゃんはあたしの後ろのドアを指差す。
『探しなさい』
あたしは白昼堂々夢を見た?
それともマミヤちゃんがそういった?
黒い視界の中で誰かがあたしに呟いた。
『~~~~』
…ズキッ
「いてて…」
あたしは頭を押さえ、マミヤちゃんと一緒に帰路についた。
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