第15話

スプーンを突き刺して、あたしはマミヤちゃんに言う。



「こんなことってないよね?

まっさかキャラ被りが出てくるとは思わなかったよ」




あたしは片手にコーンを持ち、フリーになった指でマミヤちゃんをベロンと指差した。




「確かに気になりますよね」



「でっしょーーっ?!…蜜ちゃんて何者なんだろ」



今度は深く頬杖をついて、ガラス越しに行き交う人込みに視線を置く。




─たまたまだよ─




王子の言葉を思い出し、あたしは頭を振った。



「たまたまって何だよ」



「はい?」



マミヤちゃんはマンゴー&リッチミルク~バニラビーンズ入りをスプーンですくって首を傾げた。




「たまたまって何だよぉーーー!!」




発狂するあたしにマミヤちゃんは


「店内迷惑」


と一言、ピシャリと言った。



「うぐっ」



マミヤちゃんに額を押されてしまい、首だけの力では敵いようがない。



お嬢さまは力持ち。



「静かにしますっ」



あたしは懸命にそう叫び、マミヤちゃんの指から離れた。




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