第14話

「以上!」



夏休み補習対象者発表がなされて、もちろんエントリーされているあたし。



踏んだり蹴ったり、Wパンチ、弱り目に祟り目とはまさしくこのこと。




「…はぁ」



あたしはため息をついて椅子を立った。




あ…

でも…今夜の誘いを断るいい言い訳になるかも…




「千亜稀」



「マミヤちゃん帰ろー」



王子が近づいて来ていたが、あたしは敢えてマミヤちゃんの方を向いた。




「ごめん!マミヤちゃんと約束してたから!」




そそくさとマミヤちゃんの腕を掴み、あたしは王子に片手で謝る仕草を見せて教室から出た。




「克穂様が呼んでいらしたわ。いいんですの?」



綺麗な指を顎に置いて、マミヤちゃんは後ろを振り向く。



片手はあたしにキツく掴まれていたので、半分しか振り向けなかった。




「うっうん!いいの!寮でも会えるし」




そうだ…


寮で会うんだ。



あんな態度取っちゃって大丈夫かな……




大丈夫だよね…?



きっとあたしが帰り着く頃には王子は出掛けてるよね?




靴を履きかけながら、あたしは気合いを入れる。




「っし!」



マミヤちゃんはますます分からないという顔でこちらを見ていた。




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