第11話

ドキンと胸が鳴る。



ザワ…



「?」



今までにない心音が聞こえてあたしは自分の胸元を掴んだ。




─どうせあたしじゃないんでしょ?─




あたしは頭を振る。



こんな事思いたくない。



思いたくないのに!



根底にある疑いがあたしを素直にさせてくれない。



曇る表情に、マミヤちゃんはヒヤヒヤと身持ち無沙汰に立っていた。




「で…ペンギンは…?」



佐藤くんもそろそろ奴が現れるのではないかと警戒している。




「捨てちゃいましたよ」



「ビクッ」




真横、真後ろは確認した佐藤くんは1番大切な前方を確認し忘れていた。



あたしたちの後ろから王子が現れた。



「まだ諦めてなかったんですか」



王子がふぅっとため息をついて、ジッと佐藤くんに視点を当てた。



佐藤くんはトラウマになっているのか、王子が現れた途端、ぶあっと汗(脂)が滴っている。




王子の腕がぐいっと伸びると佐藤くんは

「もう忘れて下さい~~っっ」

っと叫んで消えて見えなくなっていた。




その伸びた腕で王子は獲物を捕らえる。




「キャッ?!」




寄せられた体は、いきなりの事で態勢を崩した。




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