第8話

あたしは顔を隠したまま、ビクッと肩を揺らした。




自分で作った手の平バリケードを、本当は下げたくなんかないけれど、あたしはゆっくりと降ろしていく。




そこには蜜歩ちゃんと…奴の姿があった。



脂ギッシュで、参考書が恋人の佐藤くん。



蜜ちゃんはホッとしたようで、笑顔を零した。



「よかった…」



(…ゔ)



同じ顔のはずなのに輝き度が違う。



蜜ちゃんの笑顔は、周りを引き付ける力があるような気がする。




「この人誰??ペンギンって何のこと?」



少し呆れ気味のため息をついて、蜜ちゃんは佐藤くんとあたしを交互に見た。



「…さぁ…?誰かしら」



あたしは、しらばっくれを胸に誓う。




引き攣り笑いをしながら、視線は当てられずに宙を泳いでいた。




だってペンギン人形は…もう…




「……~~~」



佐藤くんがポカンと口を開ける。




「トッペルゲンガー!!!」




うわーーーっ!と取り乱し、こっちにもコイツ!そっちにもコイツ!と指を指して、大袈裟に驚き返っていた。




((…うるさい…))




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