第8話
あたしは顔を隠したまま、ビクッと肩を揺らした。
自分で作った手の平バリケードを、本当は下げたくなんかないけれど、あたしはゆっくりと降ろしていく。
そこには蜜歩ちゃんと…奴の姿があった。
脂ギッシュで、参考書が恋人の佐藤くん。
蜜ちゃんはホッとしたようで、笑顔を零した。
「よかった…」
(…ゔ)
同じ顔のはずなのに輝き度が違う。
蜜ちゃんの笑顔は、周りを引き付ける力があるような気がする。
「この人誰??ペンギンって何のこと?」
少し呆れ気味のため息をついて、蜜ちゃんは佐藤くんとあたしを交互に見た。
「…さぁ…?誰かしら」
あたしは、しらばっくれを胸に誓う。
引き攣り笑いをしながら、視線は当てられずに宙を泳いでいた。
だってペンギン人形は…もう…
「……~~~」
佐藤くんがポカンと口を開ける。
「トッペルゲンガー!!!」
うわーーーっ!と取り乱し、こっちにもコイツ!そっちにもコイツ!と指を指して、大袈裟に驚き返っていた。
((…うるさい…))
.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます