第9話

「やめてよ、トッペルゲンガーだなんて」



最初に口を開いたのは蜜ちゃんだった。



「そ、そうだそうだ!」



黙っているわけにもいかず、あたしも護衛に回る。




だってそれじゃぁ…




「それじゃぁどちらかが偽者みたいじゃない」



「そーだそーだ!」



最もだ。



悪いけど偽者に回る気なんてさらさらない。



…でもそう強く言い切る自信もない。



‘彼女’なの情けないなぁ…



「じゃぁあなたはどちらが好みなの?」



瞑想に耽り、同調の動きを取っていたあたしの顔をぐいっと寄せて、蜜ちゃんは佐藤くんに問う。




……は?




そーだ!と腕を伸ばしていたが徐々に曲げながら、蜜ちゃんを見た。




「ん、こっち」



悩みの所要時間、コンマ約5秒。



佐藤くんは蜜ちゃんを指差した。




「佐藤---!!!怒」




あたしは佐藤くんに飛び掛かろうと腕を振り上げた。




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