第6話

「言いまふっ言いまふから!」



マミヤちゃんは「キャー」っと眉を垂れてそう叫んだ。



その言葉を確認してあたしは手を離す。




「もぅっ!千亜稀ちゃんたら!」



マミヤちゃんは頬をくりくりマッサージしながら、あたしを見た。





…マミヤちゃん…


ごめんね


でもね…それくらい真剣、なんだ。




あたしがシュン…と肩を落としているとマミヤちゃんは咳ばらいをした。




「…こほっ


でも千亜稀ちゃんの不安の方がよぉく分かりますわ」




ニコッと微笑んでマミヤちゃんは話をしてくれた。




「…千亜稀ちゃん、絶対ショックを受けると思いましたの。だって…その…顔が……ね?」




マミヤちゃんは核心は言葉にせず、「ね?」と首を傾げた。




「…でも結局はそんな抵抗も無意味だったんですけど…」




…マミヤちゃん


…充くん…



ホントありがとう




充くんには「嘘つき」とか酷い事言っちゃって…

ごめんね




あたしは瞳から湿ったものがシトリシトリと滲み出るのを感じた。



人の優しさが心に染み入る。



こんなにも温かい。




素敵な人達に囲まれて、あたし…本当に幸せだぁ…




そう思うと視界がぼやけていく。




「あれ?変だなっ…」



えへへと笑いながらも涙で滲むあたしの瞳を見て、マミヤちゃんは言葉を続ける。




「…声が…遅れて…聞…」




意外な特技に驚愕する。




「マッマミヤちゃん?!」



涙もヒック!と引っ込んで、あたしはマミヤちゃんを見た。




「そんな可愛い涙は反則ですわ」



マミヤちゃんは頬を染めて視線を逸らしている。




「いやいや!その特技の方が反則だよっ」




あたしは笑った。



心の中がすかっとした。




あたし、まだ頑張れる。




肩を借りて、力を借りて、あたしはまだ頑張っていける。



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