第5話

「こんな夢を見たら…ホントにマミヤちゃん達が帰ってきて…あの子までやって来て…」




あたしの話を聞いてマミヤちゃんは顎に手を置く。




「…でもフィアンセという話は聞いた事ないですわ」



「え?」



「…克穂様にそんな存在がいらっしゃるという話は一度も聞いた事がありません」




マミヤちゃんは眉をしかめて、視線を天井に向ける。




記憶の糸を手繰り寄せ、記憶のピースを1つずつ合わせていっているようだった。




「じゃぁ…あの子何なんだろう?」




どうして王子のお父様は、あの子を日本に寄越したかったんだろう?




「ねぇ…。じゃあどうして二人は抵抗してくれたの?あの子を日本に連れていきたくないって言ってくれたの?」




あたしがそう聞くとマミヤちゃんは肩を揺らした。




「…えっと…それは…」




もじもじと綺麗な指を絡ませて、マミヤちゃんはあさっての方を向く。




「えぇーー…っとですわね…」




明らかに何か知っている。




何を知っているの?




あたしはマミヤちゃんの頬を両手で挟み、顔を背ける事が出来ないように力いっぱい固定した。




.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る