百物語 第二話 夢と現実と。
夢遊病。意識がない状態で動き続ける病気。俺は中でも特殊で、夢遊病の記憶が夢として残っていた。夢のようにふわふわとした感覚で、自由に動かせない体、そして現実味のない風景や空間。週に2、3回ほど起こる夢遊病は、どう対策したところで治ることはなかった。
夢を見た。鉄塔にいる自分は落ちる寸前のところで立ち止まっている。背筋がゾクゾクとし、体がこわばっている。フラッと鉄塔から落ち、ふわふわと脳へ感覚が伝わる。地面がものすごいスピードで近付き、、、
バッと飛び起きた。冷や汗が止まらない。ふわふわと落ちた感覚だけが頭に残っていた。こんな夢見るのかと、自分でも呆れてしまった。鼓動が早い。在宅ワークの時代になってから出勤も減り、ストレスも少なくなったが、こういう夢を見るとどうにも落ち着かない。運動でもしてすぐに寝ようと思い、ジムで運動してから家に帰って身支度をして就寝した。
また夢。昨日よりも意識がはっきりしていた。自分の体を見ているような視点だった俺。目覚めろ、目覚めろと何度も意識してみたが、一向に夢は覚めない。何も無い、くねくねとした一本道を歩く夢が続いている。階段を上り、扉を開き、ハシゴだろうか、上ったあとにまた真っ直ぐ進む。少し進むと体は床に倒れ込み、頭を下にしてふわふわと浮き上がり始めた。感覚は浮くと言うより、落ちてる。一体、何が、、
『今朝、○○市の団地で20代男性が遺体で発見されました。』
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