第23話 浩介の隣の席を取り合う美少女たち。
班決めから時は経ち、ついにキャンプ当日がやってきた。
「じゃあ、行ってきます」
浩介は妹の亜衣佳と母親の愛衣に手を振る。
「うぅ~、お兄ちゃん……寂しいけど楽しんできてね」
すっかりデレデレになってしまった妹は涙を流しながら、そして母親はいつもの目を開いているのか閉じているのか変わらない笑みで見送ってくれる。
(外、かなり暗いな……)
集合時刻は朝の5時、かなり速い。
浩介は余裕を持って家を出たため、かなり速く集合場所の学校についてしまった。早朝なため外はまだ暗い。
隣には小夏 美緒もいる。今日も彼らは一緒に電車に乗り、学校まで来たのだ。
「なんかこういう、外が暗い状態の学校ってワクワクするよね……?」
「わかる」
美緒の言葉に浩介は即頷いた。
非日常というのだろうか……普段は日が昇ってから登校する学校に、まだ空が暗い中集合するみたいな状況には胸が高鳴るものだ。
やがて集合時刻となり、クラスごとにバスに乗ることになった。席は班ごとに指定されているらしい。しかし、班の中の誰と誰が隣になるかというところはそれぞれに任されることとなる。
「じゃあ、わたしが新崎くんの隣に座りましょうか」
ここで事件は起こった。
「小笠原さん? わたしがコウ……新崎くんの隣に座ろうとしてたんだけど」
「わっ、わたしだって……!」
麗奈、朱音、美緒の3人が浩介の隣の席を取り合い始めてしまったのだ。
「えっと、バスに乗る機会は行きと宿泊施設からの移動と帰りの3回あるから、それぞれでみんなと座らせてもらうって言うのはどうかな?」
しかしやがて、浩介のそんな案に納得し、行きは朱音が隣の席となった。
後ろには麗奈と美緒が、そしてその後ろには拓海と清孝が座っている。
ちなみにこの男子メンバーの2人、拓海と清孝だが……浩介がグループに誘ったときはめちゃくちゃテンションが上がっていた。
3大美女と同じグループになれる! と。
しかし、いざ当日となったらそそくさと2人で隣同士の席に座ってしまった。拓海はともかく、廊下でホウキを振り回して必殺技を放つような中二病でも美少女と隣の席になる勇気はなかったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます