第12話 次々と美少女たちに正体を知られていく。
今日は土曜日で高校は休みだ。
そのため浩介は、最近作曲や小説執筆に時間を使っていたことで出来ていなかった配信を久々に開くことにした。
浩介は個人勢のVTuberである。ボカロPやWeb作家としての名義と同じ霧谷 コウの名前で配信をしている。
しかしVTuber活動は他の活動用のアカウントとは連携するなどして関連付けていない。そのため霧谷 コウの曲を聴いていたり、小説を読んだりしていても、VTuberとしての配信を見たことがないという人も多いかも知れない。
しかし先日、投稿した新曲の概要欄にVTuberとして活動しているアカウントのURLも貼ってみることにした。同時にWeb作家として使っているSNSアカウントにもリンクを貼った。
今まで浩介は、それ以外の活動を見てくれている人にVTuberとしての活動を見せることに多少の照れくささがあった。
楽曲や小説の投稿と違い、ライブ配信はリアルに近い自分をさらけ出すことになるからだ。
しかし先日、リアルで朱音と会ったことをきっかけに考え方が変わりつつあった。いつも楽曲や小説を見聞きしてくれている人たちと、配信で直接話してみたいという気持ちが芽生え始めていたのだ。
それぞれの活動と連携づけたためだろう、同接数は今まで以上に多い。そして、今まで配信では見たことのないアカウントからのコメントも多数あった。主に他の活動でコウを知っていたファンたちだろう。
中には同期のWeb作家である雪凪 レイのアカウントもあった。
<雪凪 レイ>こんにちは~
「あっ、レイ。配信遊びに来てくれてありがとう。声を聞かせるのは初めてだからちょっと恥ずかしいな。みんな、ここにいる雪凪 レイは俺と同期のWeb作家で書籍化もしてるから、よかったら見に行ってね」
・はーい
・コウ氏の同期とか神作家の予感でござる。
・楽しみすぎる!
そういうと、リスナーたちは好感触の反応を示す。
そんな会話をしているとまた一人、別の活動を追ってくれている初見さんが……。
<ai>えっっ、ちょっ、霧谷さんVTuberやってたんですか!?
「aiさんこんにちは。いつも曲をアップロードするとコメントしてくれてるよね、ありがとう」
<ai>えっ、あえっっ、マジでヤバい……!
(どうやら限界化するほど喜んでくれているようだ。やっぱり活動を連携してよかった)
「じゃあ早速だけど、昨日投稿した新曲から歌って行こうかな」
浩介の部屋は防音設備をしているため、配信では歌枠をし放題。自分の投稿している楽曲を歌うことも多いのだ。
・きちゃー!
・ほんとイントロ神すぎ。
off vocal版のイントロが流れると、リスナーたちのボルテージも上がり始める。
<榎島 アカネ>うおおおおおおぉ
<朝日奈 コナツ>待ってましたぁ!
・アカネ殿とコナツ殿まで来たでござる。
・こんなの神回確定
・オールスター集結する展開激熱すぎ
楽曲のPVでイラストを担当しており、コウのVの姿の生みの親である榎島 アカネと、有名なVTuberであり、過去にコウがオリジナル曲を提供した朝日奈 コナツもチャット欄に現れたことでチャット欄はさらなる盛り上がりを見せる。
この日、霧谷 コウの配信は急上昇ランキングに載った。
#
一方で、初めてコウの配信を視聴して彼の声を聞いた雪凪 レイこと小笠原 麗奈は……。
「えっ……新崎くん?」
さらにコウのファンである妹、aiこと新崎 亜衣佳も……。
「えっ、お兄ちゃん? ……霧谷 コウがお兄ちゃん? えっっ?」
そして以前一度会ったことのある朝日奈 コナツこと小夏 美緒も確信していた。
「やっぱり、あのとき来たクラスメイト、間違えなくコウさんだ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます