第11話 バカにしてくるクズ生徒たちがざまぁされる②
以前、浩介との会話を邪魔して美鏡 朱音に嫌われた熊田 豪弥とその友人である男子生徒2人。
彼らはあの日から日々鬱々と過ごしていた。
朱音はすでにクラスで中心的な存在になりつつあり、男女ともに人気だ。その朱音に強引に迫ろうとした豪弥たちは、周りの生徒達からも冷たい目で見られている。
「小笠原 麗奈マジたまんねぇよなぁ。いつも澄ました表情してあのエッチな体はやべぇって」
「だよな。きっと普段からエロい事考えてんだろうな。今度ナンパしてやろうぜ」
「あぁ~あの巨乳を揉みしだきてぇ。絶対領域のぶっとい太ももを犯してぇ! でか尻をぶっ叩きてぇ!」
それでも性懲りもなく、彼らはこのような下品な会話を交す。しかも今度は麗奈をターゲットにしたようだ。
そしてちょうど教室の移動中、彼らは麗奈を発見する。しかも隣には新崎 浩介がいた。
「なぁ豪弥、今チャンスじゃね?」
「だな、朱音はあの陰キャにご執心だったようだが、あんなの偶然だ」
以前、朱音が自分たちじゃなくて浩介を選んだことを根に持っているのだろう。豪弥たちは麗奈と浩介が話しているのを邪魔するべく後ろから近づく。
「よぉ麗奈、特別教室行くのか?」
彼らは強引に麗奈と浩介の間に割り込む。こんなことをしても彼女は自分たちになびく自信があるようだ。
「ちょっ、なんですか。やめてください……」
麗奈は困惑しているようだった。しかしそんな反応すら楽しんでいるのか、彼らは調子に乗り始める。
「こんなオタクくさい陰キャほっといて俺たちと行こうぜ」
「てか麗奈ちゃんもクラスのグループチャット入ろうぜ。招待してやるからアカウント教えろよ~」
しかし、ひとりが『オタクくさい』という言葉を使った瞬間に彼女の目付きが変わった。
「は? 黙れよ」
「「「えっ……」」」
朱音のときとはまた違う、けれど確かな悪寒が彼らの背筋に走る。
「何を勘違いしているのか知らないですけど、虫けら三匹の相手をしているより新崎くんと話している方がよっぽど楽しいので」
その言葉が癪に触ったのか、豪弥は顔を真っ赤にして拳を振り上げる。
「てめぇ! こっちが下手に出てやったってのに調子のりやがって!」
豪弥は拳を麗奈の顔面に突きつける。しかし、それはいとも簡単に受け止められてしまう。目の前に立ちふさがった新崎 浩介によって。
「なっ……!」
そして次の瞬間、豪弥は突き飛ばされていた。廊下に倒れ込み、思い切り頭を打ちつけられる。
さらにもう2人が同時に浩介に襲い掛かるが、彼らもあっさりと攻撃を受け止められ、吹っ飛ばされてしまう。
「おまえらいい加減にしろよ……小笠原さん、行こう」
浩介はそれだけ言うと、麗奈を連れてこの場を去ってしまう。
このとき豪弥は気が付いた。彼はいつも一方的に浩介をバカにしたが、このようにもみ合いになったことは一度もなかった。そのため、自分の方が絶対に浩介より喧嘩が強いと思っていた。
けれど実際は、浩介に簡単に力負けしてしまった。その事実を彼は認めようとはしない。
(俺が喧嘩で陰キャに負けるわけがねぇ……)
しかし豪弥の脳裏には、最後に浩介が自分に向けた視線が焼き付いている。心底軽蔑するような、まるで自分が下に見られているような目線が。
(あんなクソ陰キャが……俺より勝ってるとこなんてひとつもないんだ。そんな目で見るんじゃねぇよ!)
豪弥は憤りに震えるが、廊下に打ち付けられた衝撃で体を動かせない。
しかも、そこを同じクラスの女子生徒たちが偶然通りかかり、バカにするように笑われる。彼らは散々プライドを傷つけられるのをこらえるしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます