第7話 美少女の家にプリントを届ける①
高校に入学してから数日が経ったある日のこと。
「あ、新崎君、ちょっといいかな」
浩介は担任の中年教師、阿島 義男に呼び止められた。
「うちのクラスにまだ学校に来ていない
「えっ、俺がですか?」
「あぁ、実は小夏さんの家は君の住所とかなり近いんだよ」
そんなこと勝手に生徒に教えちゃっていいのか……と思いながらも担任からの頼みを断ることも出来ず、浩介はプリントと小夏 美緒の住所が書かれた紙を受け取った。
(阿島先生悪い人じゃないんだけど頼りないと言うかなんとい言うか……まぁいいか、届けに行こう。もし俺が断って先生が熊田 豪弥や取り巻きのヤツなんかにこんなことを頼みでもしたら目も当てられないしな)
浩介は電車を使って高校に通っている。かかる時間は数十分。時間を無駄にしないため、彼はイヤフォンをつけてVTuberの配信でも聴こうかとスマートフォンを取り出す。
(フォローしてる人、結構配信してるな……誰のを見るか)
考えた末に、ネット上での繋がりがある朝日奈 コナツの配信を開く。雑談配信で、どうやら今から宅配のピザを頼んで食べるようだ。
彼女の配信を選んだのは何となく無意識に、今からプリントを届ける同級生の名前の響きに影響されたのかもしれない。小夏、コナツ……。
(今日も長時間配信してる……やっぱり夜間の高校とかなのかな?)
なんとなく、この前の入学式から気になっていたことではあるが、あまりプライベートに踏み込むのもどうかと思い、その辺は確認しないままだった。
やがて電車は最寄り駅につき、目的の住所を調べてその場所へと向かう。
(本当に近いな……よく来るコンビニの近くだ)
小夏 美緒の住んでいる場所はアパートの一室だった。1人暮らしをしているのだろうか。
先程まで配信を聴くために着けていたイヤフォンを外し、浩介はインターフォンを押した。
しばらくして、パーカーを羽織って下には何もはいてなさそうな格好をした……1人の美少女が姿を現した。
◇
~♪~!~♪
「わっ……びっくりした、インターフォンだ。宅配のピザ届いたのかな? ごめんねみんな、ちょっと待ってて」
浩介が耳から外したイヤフォンには、そんな言葉の後にしばらくループするBGMが流れていた。
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