第2話 美少女に話しかけられる。
『美鏡 朱音ですっ。中学までの知り合いは居ないので、みなさんぜひ仲良くしてください!』
パッチリとした瞳の、活発な印象を与える美人顔。ウェーブがかかった明るい茶髪のポニーテール。程よく着崩した制服に短いスカート。
教室で朱音の自己紹介を聞いたとき、彼女はクラスで人気者になるだろうと浩介は思った。そして同時に、自分は今後関わることがない存在だろうとも……。
しかし、現在昇降口で浩介は朱音に話しかけられている。
「もしかしてコウくん……?」
そしてそう問いかけられたとき、彼の中には1人の人物の存在が頭をよぎった。
「えっ! アカネ……?」
浩介はボカロPとして活動をしているが、彼が投稿する楽曲のPVイラストを毎回担当している絵師が居た。
それが
浩介はVTuberとしても活動しているのだが、彼のバーチャルの姿を生み出したママでもある。
(なんとなく声が似てるとは思ってたけど、まさか本当にアカネだとは……)
彼らはよく通話アプリを利用して打ち合わせを行っているため、お互いの声を知っていた。
「嬉しい……コウくんとリアルで会える時がくるなんて。しかも高校まで同じだし」
心底嬉しそうにしている朱音。
浩介は驚きの連続だった。
ネット上で仲のいい友達が同じ高校に入学してきて同じクラス。
そもそも、学校でこんな美人な女子生徒と会話をするということ自体初めてだった。
「コウくんはもう帰り? よかったら一緒に帰ろうよ」
「あぁ、もちろん。けど、アカネはいいの?」
教室には多くの生徒たちがクラスメイトと仲良くなろうと残っている。
浩介は始めから誰とも仲良くなるつもりはなかったのでさっさと帰ってきたが、朱音はよかったのか。
しかしそのことを問いかけると彼女は首を振った。
「だって、コウくんと一緒に帰れる方が大事だもん」
そう言って、朱音は浩介に体を近づけてくる。
「わ、わかった。それなら一緒に帰ろう」
そうして2人は一緒に下校した。
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