10月3日 公開分

【No.031】二人のMemory

【メインCP:男6. 辻浦つじうら 優真ゆうま、女22. 天倉あまくら 芽芽音めがね

【サブキャラクター:女13. ユーエリ・ケプラー】

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 ハーイ、ナイストゥミ―チュー!

 ワタシはユーエリ・ケプラーと言いマース。

 ウー・チュージ……じゃなくて宇宙人デース。

 母星は惑星ケプラー22b。地球の文化を学ぶためにアメリカに留学中デース。

 モチロン留学して好き勝手に遊んでるわけじゃないデスヨ?

 ちゃんと地球のことを研究してその結果を定期的に母星に送っているんデス。

 蛍雪の功というやつデスネ。

 今日はその研究の中から一つのレアケースをミナサンにご紹介したいと思いマース。

 耳かっぼじってよーく聞いて下サーイ。


 これは三年前、ジャパンに足を延ばして遊び……フィールドワークに行った時のことなんですケド、ベリーにインタレスティングなアベックを発見したんデス。

 どう見ても正反対の二人でステディとは思えないのに、お互い離れるのを嫌がっている……そんな感じに見えたんデス。

 そこで研究することも付き始めてたワタシは、その二人について調べることにしてみたんデスネ。

 モチロン二人はそんなワタシのことなんて気付いてないんですケドネ。できる限り調査対象とは直接関わらないのがフィールドワークのセオリーデスカラ。

 どうやって調べたのか気になりマス?

 一昔前ならともかく、現代の地球のパーソンはほぼ全員インターネットにコネクトしていますカラ。

 ワタシの特技のハッキングにかかれば本人の知らないことまでイチコロデース!


 まっ、ハッキングの話は置いておきまショウ。

 まずアベックのガールの方のネームは天倉芽芽音サン。

 寂しそうな視線が印象的でブラックヘアのミステリアスハイスクールガール。

 ハッキングして調べてみた時にはワタシもリトル……少し驚きマシタ。

 芽芽音サンの一族は六代前から短命の一族で、芽芽音サン自身も天涯孤独だったんデス。

 それどころか芽芽音さんが好きになった相手はことごとく悲しい死を遂げていたんデス……。

 うーん、不幸属性好きにはたまらないキャラクターデスネ。

 あっ、現実にいるガールにそんなことを思うのはシツレイなのは分かってイマスがつい……。

 モチロンその不幸には理由があるのデスが、その話は後にしまショウか。


 話は変わってアベックのボーイの方のネームは辻浦優真サン。

 ブリーチしたロンゲで丸いサングラスをよくかけるウサンクサイ……ミステリアスな24歳。

 耳にピアス穴をメニメニ開けてるのに、ほとんど不動産の不労所得で生活してるウラヤマしいボーイデス。

 宇宙から来たワタシでもフィールドワークしてるのにネタマしい……。

 まっ、そんな個人的なレビューは今は関係アリマセン。

 優真サンの方はハッキングして調べたところ、特に芽芽音サンのような不幸な過去は見当たりませんデシタ。

 たくさんのガールと同時に付き合ったりもしているみたいデスガ、それくらいならワタシの星でもよくありマスカラ。


「ねぇ、それ俺の女なんだけど。誰の許可得て絡んでんの?」


 そう言ってバッドボーイに絡まれてる芽芽音サンを優真サンが助けたのが出会いのきっかけだったみたいデスネ。

 初対面でそんな言い方できるなんて、漫画みたいなドラ息子……コミックボンボンというやつデスネ。

 そんな二人が出会って仲が進展するはずないデスし、進展したところで優真サンに不幸な死が訪れるだけのはずだったんデスガ……、なぜか一年以上たまに会って軽くお話をする仲になっていたんデス。

 芽芽音さんの不幸は終わったのデショウカ?

 それとも優真サンの空気を読まないキャラが呪いをブレイクしたのデショウカ?

 モチロンそれには一つのハードなようでイージーな理由が隠されていたのデス。


 お話は戻りマスガ、ミナサンはトラウマが遺伝するという最近地球でも研究され始めた説をご存じデスカ?

 一般的に親世代のメモリー……記憶は子世代に遺伝シマセン。まっ当たり前デスネ。

 デスガ、トラウマ……つまり恐怖体験は子世代に遺伝することがこの地球でも分かってきたのデス。

 考えてみればこちらも当たり前かもしれマセン。生き残りやすい遺伝子を遺すためには恐怖体験を知っておいた方がいいデスカラ。

 どうやら芽芽音さんのまわりの人が次々と死ぬのはそれが影響しているらしいのデス。

 何世代も前から芽芽音サンの先祖のミナサンは、好意を持って近付いてきた人々にひどい目にあわされてしまい、それで自分に好意を持った相手を死に至らせる能力を得たみたいなのデス。

 それでいつしか芽芽音サンも誰かを好きになることをやめてシマッタ……。

 詳しく言えばブレインから絶えず発される電気信号が相手に影響しているようなのデスガ、その話は複雑デスカラまたいつかチャンスがあればお話ししたいデスネ。


 だとしたらどうして優真サンは芽芽音サンに近付いても死に至らないのデショウカ?

 聡明なミナサンならもうお分かりデスヨネ?

 そうデス、優真サンは芽芽音サンのことを好きでも何でもなくて面白そうだから近付いただけなんデスネ。

 そしてそれは芽芽音サン相手に限った話ではないのデス。

 来る者は拒まずに去る者は追わなくて、何人同時にでもステディになれて、その人たちの望むキャラクターを演じられる人なんて、誰のことも好きじゃないに決まってるデショウ?

 もっと言えば優真サンか好きなのは自分だけなんデスネ。だから何の好意もなく芽芽音サンと付き合えるというわけなんデス。

 誰のことも好きにならないようにしていた芽芽音サンが、自分のことだけ大好きな優真サンと付き合いを続けられる。とても不思議でロマンティックな話デスネ。


 芽芽音サンが優真サンと出会ってから三年、そろそろお二人が結婚されるという情報が入って、ついミナサンにこのケースを報告してしまいマシタ。

 ところでミナサン、芽芽音サンは優真サンの本当の気持ちに気付いていると思われマスカ?

 優真サンが単に面白そうだから芽芽音サンと結婚しようと思っているという、それだけのシンプルな気持ちに。

 それは……、まっミナサンの想像にお任せシマショウ。

 どっちにしても芽芽音サンは幸せなようデスし、愛が無くてもハッピーなアベックはメニメニいるのデスカラ。

 それより気になるのはお二人の間にベイビーが産まれた時、芽芽音サンの不幸な遺伝子が伝わらないかということデスガ……、まっこちらも何とかなるかもしれマセン。

 芽芽音サンの死を呼ぶ遺伝子と、優真サンの自分だけを愛する利己的遺伝子。

 より強い方のメモリーがベイビーに遺るだけデショウカラ。

 それでは、これでユーエリレポートナンバー61の報告を終わりたいと思いマース。

 ご清聴ありがとうございマシタ!

 シーユーアゲン!



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【本文の文字数:2,640字】

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