“夫が愛人との間にデキた子供を私が面倒を見る事になったのだけど?”

神石水亞宮類

第1話 “夫が愛人との間にデキた子供を私が面倒を見る事になったのだけど?”




“夫が愛人との間にデキた子供を私が面倒を見る事になったのだけど?”



・・・夫が43歳で亡くなった。

亡くなる1カ月前までは、凄く元気だったのに急に家で倒れてそのまま

入院し、夫の体調は戻らず寝たきりなってしまった。

夫は? “自分の命があと僅かだと悟ったのか? 

私に大事な話があると言い、病室に私を呼び出して。



『“聡子、お前にずっと黙っていた事があるんだ!”』

『えぇ!? 大事な話?』

『“そうだ! 俺には愛人との間に子供がいるんだよ、こんな形でお前に

言う事になるとは思わなかったが、その子をお前が引き取って育てて

くれないか?”』

『・・・あ、愛人? その女性はどうしたの?』

『1年前に病気で亡くなったよ、その子は今は施設に居る!』

『・・・な、名前は何て言うの?』

『那琉基って言うんだ! 俺があの子の名前を付けたんだよ。』

『幾つなの、その子、、、?』

『・・・うーん? もう10歳になるかな。』

『“10年以上前から、私を裏切っていたのね。”』

『すまない、でも俺の子だ! お前にあの子を託したい!』

『“あなたはいつもそうよ、困った時はいつも私を頼るの。”』

『お前には本当に迷惑をかけた、でもな! あの子には罪はないんだ!』

『“じゃあ、遺書にその子にも遺産を分けれるようにしたら?』

『・・・い、いいのか?』

『“ウチの子達には、一銭も渡す必要はないわ!”』

『俺がこんな風になっても連絡もなしだし、家を出てから一度も会いに

も来ない奴らに遺産なんて残す気はないよ。』

『・・・そうね。』

『“お前に任せてもいいか、あの子を、、、?”』

『どうせ、私に任せる気なんでしょ?』

『あぁ、そうだよ! 頼れるのは妻のお前だけだ!』

『施設は何処の施設か分かってるの?』

『後で、書類を渡すよ! 後は頼む!』

『・・・えぇ、』



・・・夫は入院してたった1ヶ月で亡くなってしまったわ。

夫の言う通り! 夫の遺産は、“私とその子にお金が入った。”

子供達は随分、イライラしたり不満を私にぶつけて来たけど、、、?



『母さん! なんで親父の遺産が俺達に一切入って来ないんだ!』

『それは始めから決まってた事よ。』

『“そんなワタシ達は、父さんの子供よ! そんなのおかしいじゃない!”』

『アンタ達、一度もあの家を出てから家に帰って来た事ないでしょ!

親不孝者に遺産なんて渡さないって、お父さんも言ってたわ!』

『“でも? 愛人の子供には遺産を残すんだろう? そんなのおかしいよ!”』

『アンタ達に、何か言う権利はないわ!』

『・・・母さんは、本当にいいのかよ? 』

『“愛人の子供を引き取るのよね?”』

『そうよ、お父さんの最後の願いだから!』

『・・・その愛人はどうなってんだよ?』

『1年前に、病気で亡くなったらしいわ。』

『母さんがそんな子の面倒を見る必要なんてないだろう!』

『いいえ、これはお父さんの遺言なの。』

『・・・と、父さんの?』

『そうよ。』

『まあ、母さんの好きにしろよ! 俺達は完全に関係ないんだし!』

『そうよ、どうせワタシ達が何を言っても言う事を聞く気もないんでしょし!』

『そうね!』

『じゃあ、なんかあったら? 連絡してよね!』

『えぇ、』

『じゃあ、母さん! ワタシ達、帰るわよ!』

『気をつけて帰るのよ!』

『あぁ!』




・・・どうやら? 子供達は理解してくれたらしい!

これで! あの子を施設から引き取る事が出来るわ。



【ピーポーン】


『はーい!』

『昨日電話した斎藤です! 那琉基くんを引き取りに来ました。』

『那琉基くーん! お迎えが来たわよ!』

『・・・だ、だーれ?』

『“あなたのお父さんの知り合いよ。”』

『・・・お、お父さんの?』

『そう! だから私とお家に帰りましょう。』

『・・・ううん。』



どこか亡くなった夫に面影が似ているこの子を、私は引き取って

育てていけるモノなのか?

そんな不安を抱えながら、この子の手を握り家に帰った。

今! 私ができる事は、“この子を20歳までは、私が責任を持って

育てるとこの時、心に決めたわ!”

夫の血を継ぐ、この子を大事に育てていきたいとこの子の横顔を見ながら

ふと私は思っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

“夫が愛人との間にデキた子供を私が面倒を見る事になったのだけど?” 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ