第49話 とある骸骨は断罪される

「……まじ?」


 レイは完全に元の姿に戻った骸骨に困惑を隠せなかった。レイは目に魔力を集中させる。


「魔力もさっきより増えてる……いや、これは増えた訳じゃなくてってことか」


 すると骸骨は魔物を召喚する魔法を展開し始める。

 レイは魔力に干渉したが相手の魔力が以前よりも多かったことで乗っ取ることができなかった。

 骸骨の足元から絶え間なく魔物が出現し、レイに襲いかかる。

 

「あーもう! めんどくさいなぁ!」


 レイは襲ってくる魔物全てを凍らせながらもう一度剣に魔力を乗せて骸骨を消滅させた。

 しかし骸骨は先程よりも早く生き返った。


「また? さっきより早く生き返るし…… いや、骸骨だから死んでるのか? まあどうでもいいけど」


 レイはもう一度魔法を展開する骸骨を見ながら困っていた。


「うーん、どうしたものか…… 一回あの召喚魔力はどうやら魔力を消費するみたいだから全部使い切るまで倒し続けるか…… 流石に1年とか掛かるなら私の魔力の残量も怪しいけど、まあ未来の私が解決するでしょ!」


 レイは再び魔法が展開されて出現した魔物を常に魔法を展開して自動的に凍らせて倒す。

 その間レイは雫に連絡を取っていた。


「もしもーし、雫ちゃん。そっちは大丈夫?」


『こっちは大丈夫だけど……レイはどうなの?』


「こっちはねぇ、ちょっとめんどくさい事になっちゃっててねぇ……

 こいつどうやら死んだら時間巻き戻して再生するんだよ。

 そこでね、魔物出すためにはどうやら魔力を消費するみたいだから、出てくる魔物を今自動的に凍らせて倒してる最中なんだ」


『……私も応援にいく?』


「いや〜来ても暇だから絶対来ない方がいいよ。こいつら倒しても経験値ないし」


『そっか、でもレイも何時間かやってまだダメだったら一度戻ってきて欲しい。

 私はレイが少し心配だから。

 あと今回の騒動はメディアに隠しきれない。だから今回の解決した張本人は配信者のreiって発表する事になってる。

 だから一応レイの実名とかプライバシーは学校以外は守られると思う』


「了解。学校もどうせ協会がなんとかするでしょ。それじゃあ雫ちゃん、また後で暇だったら通話かけるよ」


『分かった』


 そうして通話が終了しレイはその場に座って魔物が倒されていくのを眺めていた。

 


 そしてレイが魔物を眺め初めてから約3時間が経過した。


「もうっ! 長すぎ!いつまでこうやってればいいの!?」


 レイはちょっとイライラしていた。


「てか、時間巻き戻すってずるくない?こんなの許されていいの?

 こんな……の…… ん?」


 レイは立ち上がって骸骨を見る。


「いや、自分が対象でも時間を弄るのって

 そうだ……そうだよ! 思い出した!

 時間を弄ることが許されているのは煌星族ステラ

 えっ? て事は………… 」


 その瞬間、空間に亀裂が入りそこからおぞましいほどの魔力の圧が放たれた。


「ッ!?」


 レイはその亀裂から最大限に距離を取る。

 その時のレイは恐怖と驚きに支配されて冷や汗を大量にかいていた。


 そしてその亀裂から【時の神クロノ】がボス部屋に入ってきた。

 クロノは以前挨拶していた時の元気そうな面影は全くなく真顔で、ただただ恐怖を感じ押し潰されそうなほどの威圧感を放っていた。


 クロノは骸骨を見ると口を開く。


「貴様か、禁忌を破った愚か者は」


 骸骨の足元から黒い鎖が生え、その鎖は骸骨を縛りつけた。

 骸骨は身動きが取れずにもがくが全く鎖は解けそうになかった。


「ん? 貴様、その魔力は……そうか、やはり此処にも

 まあ良い。貴様は利己的な理由で時を操作するという禁忌を犯した。

 これは自分にしか影響がなくとも関係がない。時間を操作する事自体が許されない行為だ。

 よって私は貴様を処刑する権限を得た。今から貴様を後悔をする間もなく消滅させる」


 骸骨はどんどんと薄くなっていき、やがては透明になって消滅した。

 その際に骸骨から何かが落ち、レイの足元に転がってきたのでレイは転がってきた物を拾った。


「これは……魔石? さっきのあいつから感じたドス黒い魔力はこれが原因か」


「それを渡しなさい」


 レイにクロノがそう言い近づいてくる。


「クロノさんお久しぶりです!」


 レイはフードを取ってクロノに挨拶をする。


「貴様、なぜ私の名前を…… え!? レイちゃんじゃん! この世界にいたんだ〜! 久しぶり〜元気にしてた?」


 クロノは真顔だったのがレイの顔を見た瞬間にぱぁぁぁっと明るくなった。


「はい! それなりに元気でした!それとこの魔石ですね、はいどうぞ。

 それとこの魔石なにかドス黒い魔力を放っているんですけどクロノさんはこれが何かわかりますか?」


 レイは拾った魔石をクロノに渡す。


「ありがと。うん…… やっぱりそうだ。


 クロノは魔石をまじまじと見ると何かに納得したようだった。


「クロノさんこれが何か教えてくれませんか?」


 レイはクロノに詳細の説明を求めた。


「……これはまだ君に私から教える事はできない。

 ただ、いつか知る時が絶対に来るよ。

 後レイちゃんにお仕事を依頼します。この魔石を見つけたら破壊して欲しいこんな風に」


 クロノは手に取った魔石を魔力を込めて握りつぶした。するとドス黒い魔力が放出されやがては霧になって消滅した。


「それじゃあ、あんまり長いは許されてないから私はもういくね。

 あと! さっきの魔石体内に取り込んだり魔道具に使ったりしたらダメだからね!」


 クロノは亀裂に飛び込むように入っていなくなり、やがてその亀裂も消滅した。


「今は教えられない、か。でもあっちの世界関係の何かってことだけは分かった。

 アイネさん達の為にも積極的に見つけたら壊していきますかね」


 レイはそうしてボス部屋を後にし、地上へと戻るのだった。














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