第48話 とある少女は骸骨を圧倒する
「あっちょっとレイ!…………切られた」
雫は現在56階層にて骸骨から召喚された魔物と戦いながら電話をしていたが、レイが通話を切ったのでポケットにスマートフォンをしまった。
「……まずは、コイツらを全部倒してから地上に戻る」
雫は56階層にて発生した魔物の残りの数を確認する。
「残りはざっと100体、2分で終わらせる」
雫は剣を構えて魔物の群れに突撃した。そしてちょうど2分で全ての魔物を倒し転移門の元まで走っていき地上に戻った。
地上に戻った先に報道陣の対応をしている皆川を見つけた雫はその現場まで走って皆川の手を引き報道陣から引き離す。
「皆川さん!」
「どっどうした、何かあったのか?」
「いいから早く来てください!」
「おっおい!」
報道陣から聞こえない位置にまで離れた雫はレイの伝言を伝える。
「一体どうしたんだ。そんな切羽詰まった表情をして」
「皆川さん緊急事態です。現在レイが今回の多発しているスタンピードの原因と思われる魔物を発見。
その後戦闘中に予想外のことが起き、魔物が大量に発生した模様です。
多分私に連絡してきたことから魔物は複数の階層で発生していると見られます。
そしてレイからの指示で、今すぐ遠征組を地上に退避させてほしいとのことです」
皆川は遠征組に渡してある無線を直ぐに取り出す。
「おい! 佐久間! 聞こえているか!」
『聞こえていますどうかされましたか?』
「今そっちに変わった事は起きていないか!?」
『ええ! こちらは順調に攻略を進めています』
皆川は一瞬ほっとした表情になるがすぐにいつもの真面目な表情に戻った
「今から遠征組に命令する。今すぐ地上に退避しろ、緊急事態だ」
『え? 一体何が────』
「いいから早くしろ! 今すぐにだ!」
『わっわかりました!』
そうして無線を切り、遠征組が戻ってくるのを待つだけになった。
その間皆川と雫は今回のことについて話し合っていた。
「やはり氷川零の言う通り、原因は何かが魔物を発生させていたのか……」
「それでどうするの? 今回はもうレイを隠しておく事は無理だと思う」
「だろうな。今回の札幌ダンジョンのスタンピードの件については今後のために説明しなくてはならない。その際に氷川零の事も発表せねばならん。
発表する名前を配信者のreiとして発表するしかないだろう。これが1番氷川零のプライバシーを守ることができる」
「私もそう思う。レイに報道陣が殺到するだろうけどそこはダンジョン協会が守ってくれるんでしょ?」
「ああ、今回の件に関わった探索者への取材依頼などは全てダンジョン協会を通してからでないと出来ないようにするつもりだ」
「そう、ならひとまずは安心。それと多分だけど私達を退避させたのはおそらく邪魔だから」
「何?」
「多分レイならこのダンジョンの階層全てに影響する攻撃を放てる。レイはそのくらい強い」
「なっ!? 氷川零の力はそれ程までに……」
話していると遠征組が転移門から出てきたので、雫達は遠征組の元へ向かい説明をする。
そして皆川は報道陣に向かって現在の状況を説明した。
「現在、今回の多発しているスタンピードの原因をおそらく発見し、現在ダンジョン配信者のreiがそれの対処にあたっています。
その間、戦闘に巻き込まれないためにrei以外の人間は現在地上にいる状況です。
現在お伝えできるのはここまでですのでご了承ください」
遠征組が全員地上に戻ってきた事を確認した雫はレイに言われた通りに電話を掛けた。
◇◇◇
「おっ電話が来た! て事は無事に全員退避できたんだね」
レイは骸骨と戦い雫から電話が来るまでの間、骸骨の足止めをしていた。
ここまでの戦闘でレイは骸骨の特性を見抜いていた。
レイが少し距離を取ると骸骨の持つ杖が黒色のオーラを纏いその瞬間骸骨の足元に魔法陣が展開される。
「もう見抜いたよ。その魔法で他の階層に自分で作った魔物を飛ばしてるんでしょ。でももうそれは出来ないよ、私の方がステータスが強いから」
その瞬間レイは骸骨の展開した魔法陣の魔力に干渉し乗っ取った後に魔法陣を破壊した。
骸骨からは驚愕の感情を感じ取った。
「魔物だから理解してるのかわからないけど一応教えてあげる。あなたは多分元々ここのボスで何かの影響を受けてその魔法を手に入れた。
多分そのあなたに流れる明日な魔力が関係してるだろうね。
でも元々のステータスを補強したところで私には到底届かない。だから魔力を簡単に乗っ取れるんだ。
さっもう終わりにしよう」
レイは骸骨に向かって歩き始めた。
「万が一を考えて、あなたが作った魔物もあなたごと全部消滅させる」
レイは魔力を最大限にまで剣に圧縮し集める。するとボス部屋が小刻みに揺れ始め、レイの目の下には白い光った亀裂の模様が現れる。
レイはその剣を骸骨の頭に向かって突き刺す。
展開された防御魔法壁はまるで紙のように一瞬で貫通し骸骨に突き刺さった。
「
レイの発動した魔法は相手の魔力を利用して自分の魔法を発動する魔法だった。
発動された魔法はやがて骸骨が作り上げた魔物全てに行き渡り、いきなり体内から氷が貫通して飛び出し、骸骨と生成された全ての魔物達一瞬で全滅した。
「初めて使ったけど、ステータス差がないと出来ないな。今回は相手のステータスが低くてラッキーだったね」
レイが雫に討伐の連絡を入れようとした時、骸骨の死体から再びドス黒い魔力がひ放たれた。
「まだ何かあるの? これは……魔力がさっきと逆方向に流れてる…… いや、これは骸骨の時間が巻き戻っている?」
やがて魔力は収まり傷ひとつない骸骨の魔物が再びレイの前に現れるのだった。
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