第47話 とある少女は魔力の主と対峙する
先日の謎の魔力を発見してから三日が経った。
レイはこの3日間の間に第65階層まで探索すると雫がレイのいる階層にある程度追いつくまで待つことにした。
その間は雫の探索を後ろで観戦したり、外の街を散歩したりしてオフを満喫していた。
ちなみに雫の探索を後ろから見ている時、レイは何一つ手助けをしなかった。
その理由はレイが無理やり階層を進めさせて、雫がもしスタンピードが発生した時に魔物を倒せない可能性があり危険だと判断したレイは、雫が自分の力でいける階層まで攻略させていた。
今現在レイは雫の攻略を後ろで見守っていた。
レイの予想では50階層あたりが限界だと思っていたが、雫は55階層に到達してもまだ余裕を持って魔物を倒していた。
心なしかレイは自分の戦い方に似ていると感じた。
「雫ちゃん、強くなったなぁ……」
「ぶい」
雫がピースをレイに向ける。
「そんなに急に強くなるものなの?」
「この間からレイがリビングに放置したドローンの録画をよく見て勉強してた。
前にドローンの映像見ていいか聞いたでしょ?」
「うーん……覚えてないけど全然見ても大丈夫だし…… そっか、そんなことしてたんだ。なんか照れるね」
「私の今の武器と戦闘スキルは全部レイに矯正されてるからこの方法が1番近道だと思った。
それに私はこの戦闘スタイルと立ち回りが1番好き」
「うちの愛弟子はおだて上手だなぁ」
レイは雫の頭をよしよしと撫でる。雫は嫌がるそぶりを見せずに素直にレイの手を受け入れていた。
そして雫は難なく63階層まできたので雫と別れ、レイは自分の攻略に戻ることにした。
「ここまできてやっと大体の魔力の位置がわかった。多分この先70階層のボス部屋に魔力の正体が居る」
レイは70階層のボス部屋に向かう為に攻略のペースをさらに早めた。
そうしてどんどんと70階層に近づくにつれてその魔力は大きくなっていく。
そしてその魔力の何かに気づいたレイは足を止めて目を見開いた。
(……!? これは……この特殊な魔力、アイネさん達と同じ神の領域の人たちの扱う魔力に似たものを薄く感じる)
レイはかつて神達の会議に参加した時にアイネが発した魔力とよく似たものを70階層にいる何かからうっすらと感じとった。
レイは現在68にいたが早く正体を確認する為に全力で走り5分後には70層のボス部屋の前にいた。
レイは少しドキドキしながら70層のボス部屋に入るとそこにはローブを着て杖を持った骸骨の魔物がいた。
「これは……普通の魔物? いや、でもあれから魔力を感じる」
レイは骸骨を鑑定しようとするが弾かれてしまった。
驚いたレイはその骸骨に魔法を撃つ。するとその魔物に当たると一瞬で消滅した。
「はは、魔法無効化ついてるのかよ」
骸骨はその魔法でレイの存在に気づくと、余裕の感情をレイに飛ばした。
「確かにアイネさん達と魔力は似てるけど、あんた魔力はドス黒く汚い。
あんた、この世界の魔物じゃないでしょ」
レイが骸骨にそういうと心なしかニヤリと笑った気がした。
レイは剣を抜き一瞬で骸骨に近寄って斬撃を放つ。
骸骨は結界魔法でレイの攻撃を防ぎカウンターとして風魔法でレイに斬撃をぶつけた。
しかしその風魔法はレイの魔装を破る事ができずに消滅した。
レイは第一位階の魔力を足に纏わせ結界を壊すとそのまま骸骨に足が当たり吹き飛ばした。
「手応えありだけど……やっぱりあれだけじゃ倒せないよね」
砂埃から骸骨が再び姿を現すとレイは骸骨から憤怒の感情を感じ取った。
すると骸骨の足元に巨大な魔法陣が現れ、そこから大量の魔物が次々と出現しレイに襲いかかってくる。
レイは魔物に魔法を撃つとダメージが通る事を発見する。
「魔法が通るなら、楽にこの場は乗り切れそうだ。永遠ノ
レイが魔法を唱えレイを起点としたところからどんどんと氷が広がっていき、その氷に触れた瞬間魔物は一瞬で凍りつき絶命する。
「じゃあ、このダンジョンの異変を早く終わらせて帰りますかね」
レイが第一位階の魔力を剣に纏わせ骸骨を真っ二つにしようとした瞬間、骸骨からとてつもなく黒いオーラが放たれた。
「ッ!? なに?」
レイは後ろに飛び退き骸骨の様子を伺う。そして魔力感知を展開した瞬間に先ほどのオーラの意味を理解する。
「なっ! 感じ取れる場所だけでも各階層に200体以上の魔物がいる……! まさか遠征組を巻き込むつもりか!」
レイは急いで雫に通話をかける。
「雫ちゃん大丈夫!?」
『こっちは平気。魔物も強くない個体しかいないから怪我を負うこともない』
レイはほっと安堵すると、雫に用件を簡潔に伝える。
「雫ちゃん聞いて。
70層に今回の異変の元凶がいた。それで倒そうとした瞬間にドス黒いオーラが放たれて今こんなことになってる。
そこで雫ちゃんにお願いがあるの、一度地上に戻って皆川さんに連絡して遠征組を全員外に出して。それで完了したら私に電話して」
『えっそれはどういう……』
レイはそこで通話を切り、もう一度骸骨の方を見据える。
「それじゃあ遠征組が外に出るまで時間稼ぎさせてもらうよ」
そうしてレイは骸骨に攻撃を仕掛ける為に剣を抜くのだった。
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