第36話 とある少女のイベント2日目
レイは他の生徒よりも早く自宅に着き、そこからしばらくソファーで剣の手入れをしているとインターホンが鳴った。
インターホンのモニターに写っていたのは雫だった。
レイは時計を見ると午後四時を指していて、剣の手入れに夢中になっていて一般生徒が帰宅する時間になっていた。
レイは玄関の扉を開き雫を迎え入れて二人でソファーに座った。
「レイ、今回は何があったの?」
「えっとね、────」
レイはことの顛末を雫に話す。
レイが全て話し終えた後、雫は自分の意見を言い始めた。
「……私は今回の騒動は会長の推理が正しいと思う。こんなに大胆な犯行は正直すぐに犯人は分かる人なら分かる。
でも一条ならどうせ今回もバレそうになったら揉み消せると踏んでの犯行だと思う」
「雫ちゃんもそう思うんだね〜このままどんどんエスカレートしていけば一条の父親の汚職も芋づる式に罪に問えるかもって会長さんも言ってたよ」
「うん、私もそう思う。正直レイを陥れた人が今ものうのうと生きているのが私は気に入らない」
雫は怒りを込めて言った。
「まあとりあえず明日もあるし今日は休もう」
レイはそういい二人はその後一緒に夕飯を食べ、雫は自室に帰りレイもそれを見届けて明日に備えて眠りにつくのだった。
そして2日目がやってきた。今日は渋谷ダンジョン前に集合なので雫と共に向かった。
ダンジョン前に到着すると何やら人だかりができていた。
そこには立ち入り禁止の柵の前にたくさんの記者がボイスレコーダーを構えていた。
レイ達は立ち入り禁止の柵の向こうにいる生徒達のところへ行き、雫と別れてからメンバーの元に向かった。
「おはようみんな」
「「「「おはようございます!」」」」
レイが挨拶をするとメンバー全員が元気よく挨拶を返した。
レイはこの人だかりの理由をメンバー達に聞くと、どうやら昨日の件のことでらしい。
レイが昨日の件の犯人を捕まえた為、ダンジョン協会側に犯人逮捕の報告と説明責任が生じたらしく、その説明を聞いたメディアが現在押しかけてきているそうだ。
「私は取材に応じたりする気は無いからあの人たちは無駄足だったね」
レイはそう言いメンバーを連れてダンジョンの入り口に向かった。
昨日の会長との話し合いの通りにレイ達が1番前で戦闘を行いその後に他の生徒が続いて探索していくと言う流れなので、レイ達が1番最初にダンジョンに入って行った。
「それじゃあこれは仕方ないことだけど第1層からの攻略だから昨日よりも少しペースを早めて探索しよう」
レイの言葉にメンバーは力強く頷き、小走りで移動することにした。
そして昨日と違って特に何事もなくスムーズに第五層を攻略した後、第六層で終了の時間になったので、探索を切り上げて転移門をくぐりダンジョンの入り口まで帰ってきた。
すると取材陣の数は減ったがまだボイスレコーダーとカメラを構えて待っていた。
現在レイはまだ高校生で撮影の許可を出していないので写真を撮られることはなかった。
そして続々と生徒達がダンジョンから出て来る中、レイは雫を見つけて合流して一緒に帰宅することにした。
そして帰宅途中レイは後ろをつけられていることに気づく。
「雫ちゃん」
「分かってる。私達誰かにつけられてる」
「でも気配を消すかも無いってことは、さっき柵の前にいた記者の人たちかな?」
「そんな気がする」
「じゃあパパッと撒いちゃいますか」
その瞬間レイと雫は走り出し道の角を曲がり住宅街の屋根を伝って移動する。
記者は一瞬で見失い諦めてその場を離れたのだった。
「無事撒けたね」
「ここからは歩く」
そうしてレイと雫は平和に自宅まで歩いていくのだった。
そして翌日、とうとう最終日がやってきた。
レイのパーティーは立ち回りのおさらいと装備の点検をしていると、雫から声をかけられた。
「レイ、今日は私達が二番目にダンジョンに入る。だから追いつかれないように頑張って」
「おっ言ったな〜! 私達のパーティーは以前よりだいぶ良くなったからね。追いつかれないと思うよ〜?」
「それはやらないと分からないよ。お互い頑張ろう」
そうしてレイと雫は拳を合わせて別れた。
「それじゃあ行こうか」
「「「「はい!」」」」
そうしてイベント最後の探索が幕を開けたのだった。
あとがき
今回内容がいつもより薄くてすみません!
それとこの章は後1話で終わる予定ですので次の章はどんなのかな〜と楽しみにしていただけると嬉しいです!
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