波乱の交流イベント編
第31話 とある少女は弟子と配信する
雫の提案で一緒に配信することになったレイは、渋谷ダンジョンの61階層に来ていた。
「そういえば雫ちゃんはここに来たのはは2度目?」
「そう、それにここで私とレイは出会った」
「そういえばそうだったねぇ。どう? 今ならここの魔物たちは倒せる?」
「当然。目を瞑っても倒せるくらいに余裕」
「そっか、なら問題ないね。よし! じゃあ始めますか!…………配信ってどうやってするんだっけ」
「…………」
雫は無言でレイのドローンのボタンを押してドローンが飛び上がり、二人の配信が始まった。
雫は視聴者に挨拶をして、腕輪が前に壊れてしまったので新しい物を買ってコメントを見ていた。
「じゃあ今回はレイと同じく私もコメントは見れないからよろしく」
そう言って雫は腕輪を外し収納袋に仕舞った。戦闘中に魔力を込めるとまた壊れてしまう為、雫は探索中は今の所つけないと言う選択をしていた。
そうして騎士のような魔物がいるこの階層で雫はリベンジを果たそうとしていた。
「じゃあ雫ちゃん! 私はとりあえず見てるから」
「分かった、弟子の成長を見てて」
そう言った雫は騎士が5体で隊列を組んでいるところに一瞬で移動して、流れるように騎士を全員切り刻んだ。
レイは雫の成長を見て少し感動していた。
「すごいよ雫ちゃん! 前とは比べ物にならないくらい強くなってるよ!」
「これもレイの修行のおかげ。レベルも上がったし魔力の制御もしやすくなった」
「そう言われると嬉しいなぁ」
「次はレイの番、そこに10体の騎士がいる。
雫が指を刺す方に10体の騎士がいたので、レイは授業がてら雫にレクチャーしながら倒すことにした。
「雫ちゃんに一つ面白い物を見せてあげるよ。ここから騎士までの距離は約70メートル、これは私が魔力に干渉できる範囲内だから私はここからでも倒せるんだ」
レイはそう言って薄く目を光らせると70メートル先にいる騎士たちのいるところがノイズで歪み、その瞬間騎士たちは気づけば氷の棘で串刺しにされていた。
「どう? 雫ちゃん。
君が将来あれを出来るかもしれないって考えるとワクワクしてこない?」
レイは唖然とした後、すごく真剣な顔で言った。
「……私、絶対あれが出来るくらいになってみせる」
「そうこなくっちゃ!教え甲斐がないからね」
その後は雫が基本的に敵を倒し、62層の転移門を解放した所で今日の探索は終わることにした。
そして転移門をくぐりダンジョンの外に出た二人はこの後の予定を話し合う。
「雫ちゃん、この後どうする? まだ夕方だし適当にぶらぶら散策して何処かでご飯とか食べてから帰る?」
「うん、そうしよう。そういえばあの飲み物屋さんに行って飲み物を買ってからどこに行くか考えよう」
「そうだね。またあの鉄球持ち上げればタダになるからね」
そして少し歩くと以前と変わらぬ様子で飲み物屋さんが営業していた。
「おじさん! 久しぶり!」
「おぉー! あの時のフードの嬢ちゃんか!どうした、何か飲み物でもいるのか?」
「そう! また鉄球持ち上げるから2本タダにしてくれない?」
「はっはっはっ! 鉄球なんざ持ち上げなくてもお嬢ちゃんは永久に無料だぜ!」
そうしてレイと雫はタダで飲み物を貰い街をぶらぶらと歩いていると、前方から悲鳴が聞こえる。
「きゃぁぁぁぁ! ひったくりよ!!」
女性物の鞄を持った覆面の人間が、レイ達の方角に向かって走ってきていた。
「レイ、どうする」
「まあ一応止めるけど、なるべく私ってわからないように制圧するよ」
レイはそのひったくり犯の魔力を覗き、その魔力の流れを不安定にした。
これは雫と戦った時にした方法と同じで、例にもれなくそのひったくり犯もすぐに気絶しその場に倒れ込んだ。
「よし雫ちゃん、この場から離れよう」
そうして二人はその場から離れた。
その後の犯人はいきなり気絶したひったくり犯としてニュースに取り上げられることになるのだった。
二人はその後回転寿司に行き、お寿司をたくさん食べた。
レイはタッチパネルの操作をして注文をしようとしたが、雫に全力で止められたので大人しく雫が頼んだ物を食べた。
「ふぅ、おいしかったね」
「確かにおいしかった。久しぶりに食べたから余計に美味しく感じた」
店を出た帰り道にレイが雫に寿司の感想を言うと雫も肯定的な返事を返した。
そして少しベンチに二人で座って休憩していると、雫が何やらスマホを見てびっくりしている。
「どうしたの雫ちゃん」
レイが雫問いかけると、雫がスマホの画面をレイに見せた。
「えーっとなになに?『人気配信者雫と、話題沸騰中のreiがヤラセ配信疑惑か』なんだこれ」
「おそらくレイの魔法が理解されなくて、CGの扱いを受けたんだと思う」
記事の内容を見ると、レイが騎士を倒す時に画面に砂嵐が発生してそれが治った時には騎士達が氷で貫かれていたからCGが疑われているらしい。
「これって何かしないといけないことある?」
「いや、特にない。どうせヤラセじゃないってわかるだろうし、それに今私達はコメントを見てない。私も登録者とか減ってもどうでもいいから大丈夫」
そう、二人は自分の人気に興味がない無敵の二人だったので、全く今回の騒動は気にしていなかったのだった。
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