第28話 とある少女に神様からプレゼントが届く
レイたちはスタンピードを解決し、ダンジョン協会の会長に雫が電話を掛ける。
すると数コールで電話が繋がった。
『もしもし、山本だ』
「お疲れ様です会長。今八王子ダンジョンで起きたスタンピードですが、私とレイで殲滅したのでもう大丈夫です」
『なっ何!? それは本当か? ……わっ分かった、すぐに伝えておこう』
そうして電話が切れ、レイと雫はダンジョンを出ようとした時、ふとレイがあることに気づいた。
「雫ちゃん、これもしかしてそのままダンジョンから出たら外にいっぱい人が居たりしない?」
「…………ありえるかも。どうしよう」
「じゃあ、私のローブの予備貸すからさ、これ着て出た瞬間全力で走ろうよ」
現在レイが着ているローブはアイネから直接着せてもらった物だが、その時にどうやらレイの収納にアイネが予備をねじ込んでいたらしく気づけばレイの収納の中に予備が入っていた。
そしてそのローブを収納から取り出して雫に手渡した。
「これ着てね。私と一緒のやつだから」
「分かった、ありがとう」
「私のバレたくないっていう都合に合わせてもらってるんだ、これくらいは当然だよ」
そうしてレイと雫は転移門に入りダンジョンの外に出た。するとそこは沢山の冒険者と記者の群衆ができていた。
すぐさまレイと雫はその場をジャンプで飛び越え、高速で移動して群衆の目に届かないところまで移動する。
「このまま帰ろっか」
「うん」
しばらくして雫が帰り道にスマホを見ると少し焦った様子になる。
「ねえレイ、さっきの私たちトレンドに入ってる。さっきのスタンピードの映像を見ようとしたネットの人たちがレイの配信を見つけたみたい。それで私はその時顔を隠してなかったから ≪天城雫一緒にいたのは一体誰だ≫って言うので話題になってる」
「げっ……本当に?」
「うん、レイの登録者数も今2000人になってる」
「ひょえ〜……でもこれも仕方ないか……会長が配信をやれって言ったんだし」
「うん、レイの配信が一条を誘い出すチャンスだって言ってたから」
レイは沈んだ気持ちで家に向けて歩いていくのだった。
二人はその後無事に家に着くことができたのだった。
そして二人は自宅に着き挨拶をしてから別れ、レイは自宅に入ると机の上に何かあるのを見つける。
「これは……手紙?」
そして手紙を開封して内容を確認するとレイは目を見開いた。
その内容はというと、
『レイへ
久しぶり、アイネです。元気にしてるかな? 私達はいつも通り元気で過ごしているよ。
でも一つ変わったことがあって、ニーナとアッシュが私の試験に合格したんだ。
だから次からの依頼は三人でいけるようになったよ。いつかレイも一緒に行けるといいね!
それで本題だけど、私があげた剣だけど、そろそろレイの実力に見合わなくなりそうだから君に≪煌星の剣≫の黒色と白色を贈呈しようと思うよ。これは場所によって使い分けてね。
レイは良い子だからそっちの世界で弟子の一人や二人はできていそうな気がするから、最初にレイにあげた剣も白色と黒色も一緒に贈るよ。信頼できる子に渡してあげると良い。
もしかしたら将来、その子はレイと一緒に私達の元にくるかもね。
じゃあ頑張ってね、応援しているよ』
「ははっ、なんでもお見通しなんですねアイネさんは…… 私のことどこかで見てるんじゃないんですか?」
レイは嬉しそうに笑いながら呟く。その手紙の裏側に『魔力を込めてね』と書いてあった。
レイは魔力を込めてみるとそこから剣が4本出てくる。
2つは元々使っていた剣の白色と黒色で、もう2つは神聖な雰囲気を醸し出している白色と黒色の剣だった。
レイは剣を持ってみると驚きで目を見開いた。
「すごい……今までの何倍も限界値が引き上げられた感覚だ。これならなんでもできる気がする」
レイは二つの剣を腰につけてみる。
「うん、良い感じに馴染む。なんかアイネさんに見た目が少し近づいた気がする。使い分けろって言ってたけど、多分戦闘する場所の色で使い分けろってことだね。
それじゃあうちの愛弟子に弟子の証でも渡しに行きますかね」
そしてレイは窓を開けて自分の部屋のベランダから雫の部屋のベランダに移動する。
そして窓をノックすると雫が驚いたように窓を開けた。
「…………レイ、何してるの?」
「いや〜ちょっと玄関から行くのはめんどくさかったから」
「……まあ良い、それで何の用?」
雫はレイを部屋に招き入れ要件を聞いた。そしてレイは二つの剣を雫に見せる。
「雫ちゃんにこれをあげに来たんだ。私の教え子なんだから私もできることをしていかないとね。
後この剣を受け取るってことは、うわべだけじゃなく正真正銘私の弟子になるってことだからね。
雫が嫌って言っても修行はやめないから!
その覚悟があるならこの剣を取って」
レイはそう言うが雫は迷わず剣を受け取り、そしてレイに抱きついた。
「ありがとうレイ。一生大切にする」
「んな大袈裟な……」
雫は嬉しそうに笑い、レイは苦笑いを浮かべるのだった。
そして翌日、レイたちは学校が休みだったので、訓練をするために渋谷ダンジョンの61階層に来ていた。
「この剣の使い分けだけど夜とか曇り空は黒色で、壁が白かったり空が明るかったら白色で戦うと良いと思うよ」
レイは雫に剣の使い分けをレクチャーしていた。そしてレイは以前に約束していた魔力の扱い方を教える。
「雫ちゃんが普段使っている魔力は自分の魔力だけでしょ?」
「うん、それが普通だと思ってる」
「実は魔力は空気中のやつも使えるんだ。その為にはまず自分以外の魔力をしっかりと感じ取れるようになろう!」
「分かった。具体的には何をしたら良い?」
そう言う雫にレイはいきなり目隠しをする。
「れっレイ? これはどういう……」
「まずは魔力だけに集中してもらう、周りの魔物たちは心配しなくて良いよ。
その目隠しした状態で魔力だけを頼りに私と今から戦うんだ、魔法も駆使してね」
「ちょっとレイ! そんないきなり言われても」
「大丈夫大丈夫! 私も通ってきた道だからさ、ほらいくよー!」
「ちょっちょっと!!」
レイがニコニコで雫に攻撃を仕掛けると、雫は魔力を頼りにかろうじて躱した。
しかしまだ雫はざっくりとした魔力しか捉えられないため、次のレイの攻撃で剣の腹が雫の脳天にコツンという音と共に当たった。
「あいたっ!」
「ほら集中する!」
そうして雫はスパルタな修行の日々が始まるのだった。
そうして1週間が経った頃、雫は自分の実力を試しに行った為レイは一人で八王子のダンジョンに来ていた。
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