第22話 とある少女は転入手続きをする

 ショッピングモールについたレイ達は家電量販店で、電子レンジやトースターなどを見ていた。


「ねえ、この電子レンジハイテクなやつだよ!ピッピッって手で押すやつ!」


「それをタッチパネルって言う。でもレイは多分扱えない、この自動で温めるボタンがあるやつなら多分ギリギリだけどレイは扱える」


「ならそれにしようかな」


 そうして電子レンジやオーブンを買い、そのほかにテレビなどをどんどんと購入して行く。

 そしてそれらを収納に突っ込み、移動して次は家具屋に来ていた。


「レイはどんな家具にするとか決めてるの?」


「う〜ん、本当になんでもいいんだよね〜……あっ」


 そうしてレイは一つの濃い目の色をしたテーブルと椅子を見つける。

 それはかつてレイがアイネ達のところにいた時にあった、食事をするテーブルにそっくりだった。


「これにする!」


「いきなり決まった。でもなんで?」


「見てて懐かしい気持ちになるから!」


 そしてそのテーブルと椅子、ベッドも買って歯ブラシなどの消費物も買い、やることがなくなった。

 するとそこでスマホが震え、開くと凪からカフェの位置情報が送られ、1時間後に集合と書かれていた。


「雫ちゃん、凪ちゃんからカフェの場所送られてきてるよ」


「このカフェはここの2階にある。だから1時間ここで時間を潰さないといけない私は少し親と十分くらい電話してくる」


「了解、じゃあ私はそこのベンチで座って待ってるね」


 そう言って雫は少し席を外し、レイはベンチに座った。レイは久しぶりに自分のステータスを見ることにした。


『鑑定』


 ステータス


 氷川零ひかわれい

 (ニックネーム・レイ)


 種族・人間【半堕天】


 状態・通常

 

 レベル961 1/2


 スキル

 ≪全属性魔法【第一位階】≫ ≪戦闘術・全【第一位階】≫ ≪鑑定・全≫ ≪異空間収納≫ ≪代償の一撃≫

≪魔力感知・全≫


 称号

 ≪超絶機械音痴≫ ≪半堕天≫

 ≪第一位階に至りし者≫ ≪星渡りの旅人≫

 ≪煌星の候補者≫ ≪弟子を取りし者≫


 ステータスは指名手配が解かれたため称号と状態からは消えていた。

 それに変わり雫を弟子にしたので新たに称号が追加されていた。

 レベルは961まで上がっていたがまだ999には遠かった。


 その後ぼーっとしていると雫が帰ってきた。

「レイ、お待たせ」


「おかえり〜雫ちゃん。どうする?まだ時間あるけど」


「服を少し見に行きたい」


「おっけー、じゃあ行こうか」


 二人は服を見て周り、集合時間まで後十分になった。二人はカフェに向かい、着いた時にはすでに凪は席に座っていた。


 そして店員さんに待ち合わせのことを説明して凪の席に向かった。


「凪ちゃん、久しぶり」


「レイ……!」


 凪が涙を流しながらレイに抱きついた。


「泣いてるの?」


「そりゃ泣くでしょ、ばか」


 そしてしばらくして凪が落ち着き話し始める。


「ねぇ、レイあの時いったい何があったの?それに隣の子はあの有名配信者の雫さんだよね?」


「そうだよ、監視の意味も込めて今は一緒に行動してるんだ。それと何があったかについてだよね、あれは────」


 レイはあの日起こったこと、そして一条親子の闇も話した。


「そんなことが……」


「凪ちゃんって確かあの人のファンだったよねるごめんねこんなこと話して」


「ううん、大丈夫。レイが行方不明になった時にレイを返り討ちにしたって嬉しそうに喋ってるのを見てたら辛くなっちゃって見るのを辞めたの」


「そうなんだ、そう言えば凪ちゃんはなんでここら辺にいたの?高校とかからここは結構遠かったでしょ?」


「私、探索者育成高校に転校することにしたの。探索者になってレイを探して、見つけたら事情を聞こうと思って」


「そっそうなの?」


「うん!もうスキルも手に入れたし、4月からは私も初心者用の授業が始まるんだ!」


「戦闘面でわからないことがあったら教えるから言ってね。私もそこに転校になったから、それと隣の雫ちゃんも一緒だよ」


「そうなの!?じゃあ皆同級生だ〜!」


 凪は嬉しそうにレイの手を握りぶんぶんと振り回していた。

 そして少し雑談してから凪と別れ、レイと雫は帰り道を歩いていた。すると雫が急にハッとした表情になる。


「あっ……忘れてた。レイ、今から学校に行く。すぐ近所だから」


「ちょっちょちょちょちょ」


 レイの手を握り雫は走り出した。そして10分もしないうちに到着する。外観は普通の高校と変わらないが、運動場が広く体育館も普通よりも大きそうに見えた。

 そして雫に手を引かれてレイは理事長室の前に着く。

 そして雫がノックをすると、


「入ってください」


 と女の人の声が聞こえ、レイと雫は中に入った。するとそこには茶髪のゆるふわなお姉さんが座っていた。そしてその女の人が話し始める。


「初めまして、氷川零さん。私はこの学校の理事長【山本七海】です。父はダンジョン協会の会長をしているのでご存知かと思います」


「あっ、あの人の娘さんなんですね……」


「今回お呼びしたのは転入手続きの書類を書いていただくためです。電子と紙がありますがどうしましょ────「紙でお願いします」」


 七海が言い切る前に雫が答えた。そしてレイは書類の必要事項を埋めていく。そして全て書き終えると七海が説明を始める。


「クラス分けですが実力順に分けるので、あなたと雫さんは1番上のSクラスになります」


「…………はい」


「ふふっ嫌そうですね?」


「どうせなら下の方でラクしたかったです」


「そういう訳にはいきませんのでご了承ください」


「……はい」


 「とりあえず授業開始までまだ数週間ありますので、それまでに教材と制服を届けますね」


 そうして転入が決まったレイは学校を出て帰路に着くのだった。


「はぁ……Sクラスかぁ」


「私としては一緒のクラスだから嬉しい」


 残念がるレイと嬉しそうな雫、対極な反応の二人は自宅まで歩いていくのだった。

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