第12話 とある少女は日本に帰還する

 会議が終わりやがて私は地球の神様が来るまで、アイネ達と話していた。

 レイはアイネを慕うクロノに自己紹介をする。


「初めましてレイと申します!」


「あはは〜そんな硬くなくていいよ〜アイネが認めた子なら私も認めてるってことだからね!」


クロノは元気そうに言った。


「それにしてもアイネ。いつもより随分と強い魔力圧だったね? 私結構びっくりしたんだよ?」


 クロノがアイネにジト目の視線を送る。


「あはは……ごめんごめん、流石にちょっと最近みんな弛んでるのかなって思って、レイも結界張ってもらって助かるってわかってたし、なにしろクロノが私を慕って怒ってくれたのが嬉しかったから、それに応えようとしただけだよ」


「〜〜〜!!嬉しいこと言ってくれるじゃない!!」


 そう言いクロノはアイネに抱きついた。


 そんな会話を続けていると地球を管理する神様が私達のもとにやってきた。


「遅れてしまい申し訳ありません!私、地球を管理しています【アプフェル】と申します!」


 そう言ってアプフェルが私たちに挨拶をした。


「ご苦労様!話は聞いていると思うけど、レイを地球に戻してあげて欲しいんだ」


それに答えるようにアイネは言った。


「はいっ!あなたがレイさんですね?今回はあなたを地球に送り届けるために呼ばれてきました。アプフェルと申します!よろしくお願いします」


「レイと申します。よろしくお願いします!」


 レイとアプフェルは握手を交わした。

 そしてアプフェルは戻る際の注意事項を説明を始めた。


「戻る際のことなんですけど、アイネ様達のいる世界と私達の世界では時間の進むスピードが違います。アイネ様達の一年はこっちの半年と考えてください。なので今、地球は三月なのでそこのところご注意ください!あと転移した場所が渋谷のダンジョンとのことなのですが、ダンジョンは魔力の流れが特殊でどの階層に飛ばされるかわからないのでそこをご理解ください!それじゃあ転移を始め…………

 『ちょっと待って!』」


 アプフェルが転移を発動しようとした時、アイネが待ったをかけた。そして私に黒いローブを羽織らせる。


「これは私が仕事で使うやつと同じ物だよ。特殊な魔法を施しているから汚れないようになっているんだ。

 しばらく会えないけど、私は君のことをもう家族のようなものだと考えてるっていうことだけはわかってね。

 ふふっ、レイの服装がスカートも上の服も私の物だからなんか不思議な感覚だよ。

 辛いこともあるかもしれないけど頑張ってね」


 そう言ってアイネはレイを抱擁する。その時のレイは涙が止まらなかった。


「わたしも……わたしも……かぞくだとっおもってますからっ!!」


泣きながらそう言うレイに、


「ほらっ行っておいで!!」


 抱擁を解いたアイネはレイの体をくるっと半回転させ優しく背中を押す。


「また、あいましょう!!!」


 泣きながらレイはアプフェルの転移魔法でこの場からいなくなったのだった。


「……ニーナとアッシュの顔が無性に見たくなった」


 そう言ってアイネも自分の家に帰るのだった。


 転移中、レイは涙を拭きアイネからもらって着ている上の白いワイシャツを整え、スカートもしっかり履き直し、向こうに着く前にアイネとの修行中のことを思い出す。


────半年前


『いい?これからしばらくはレベル以外ステータスを見るのは禁止!次見ていいのは君が言っていた≪死神≫にリベンジしてからだよ。いい?それまでは見ちゃだめだからね!』


(おそらく私が今のステータスで満足しないように言ってくれたことだけど、正直見たところで全然ここで満足なんかしちゃいられない。でも約束は守りますよアイネさん!)


 そしてその思いを胸にレイはやがて転移が終わり地球に戻ってきたのだった。





────そして私はいま地球に帰ってきた。

 ですが現在私は今アイネ達と過ごしてきたせいで、寂しさと虚無感に潰されそうになっています。

 なんせ称号の【半堕天】の関係で現在この世界の何もかもに興味がないからこの先やっていけるか結構不安だったりする。

 でも感情がリセットされただけだし、また必要なことは後々興味が湧くだろう。とりあえずまずは現状確認をしよう)


そうしてレイは自分のいる場所に鑑定を発動する


鑑定結果


≪渋谷ダンジョン70階層【ボスの間】≫


「てか普通に周りみればあそこじゃないってわかるけど……!目の前にボスっぽいのいるけど!70階層か〜……あそこまで行くのめんどくさい〜〜〜!!」


 レイは頭を抑えブンブン振り回しながら悶絶する。


 そしてしばらくして落ち着き、私はボスの間の先にいる大きな二足歩行の牛を見据える。

 そしてアイネの教えのとうりに戦いの準備を始める。


「当然まずは鑑定だろう」


 鑑定結果


 獰猛牛の戦士


 レベル190


 怪力で右手に持っている斧でありとあらゆる物を破壊する。頭は悪い。


 「……うん全然いけそうだ」


 そう言ってレイは目を閉じ深呼吸する


 そしてその瞬間、レイの周りに

 レイは剣を抜き音もなく一瞬で牛の首元に現れる。


「まずは復帰一発目。記念にどでかいので行こうじゃん!

第一位階ノイズ終焉のネーヴェ


 レイの振り抜いた剣が牛も気付かぬうちに首を切った瞬間、あたり一面が音もならぬまま一瞬で凍りつく。その刹那、家をも吹き飛ばすほどの猛吹雪がダンジョン内に吹き荒れた。


「まぁ、一発目はこんな物でしょ。取り敢えずはのんびり次の階層に向かっていこう!」


そう言ってレイは次の階層に向かって歩いて行くのだった。

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