少女帰還騒動編

第10話 とある少女は旅立つ

 レイがアイネ達と出会ってから一年が経った。


 明日にある神達の会議にアイネが出席するので、私もそれについていき、元いた世界を管理する神様に戻してもらう。

 もうアイネが相手に手紙を送ってくれているので、向こうも状況がわかっている状態なのでスムーズにいくはずだとアイネは言っていた。


 つまり明日でみんなとはお別れすることになる。そして私の新たな門出を祝って、今日の夕飯は豪華なメニューでパーティーのような雰囲気だった。


「それじゃあ、レイの新たな門出を祝してかんぱ〜い!」



「「「かんぱ〜い!」」」


 アイネの音頭に三人で応えて、みんなで乾杯をする。そして最後のみんなでの夕飯が始まった。


「それにしても、一年はあっという間にすぎるわね〜 一年前なんてまだひよっこだったのに、今となっては逞しくなっちゃって」


 そう微笑みながらニーナはレイに言った。


 そしてみんなでこれまでのことを話しながら、時間は過ぎていくのであった。


 レイはこの一年でアイネ達からいろんなことを学んだ。ニーナからは魔法を、アッシュからは近接戦闘を。そしてアイネからは実戦戦闘を学んだ。

 そして修行を初めて一年たった今のレイは当初の面影は全くないほどに成長していた。体はより一層引き締まり、身長も以前が165センチほどだったが、今は170センチほどまで伸びている。


 魔法は氷魔法を重点的に伸ばし、他の基本属性や副属性はどちらも扱えたので、そちらも満遍なく実力を伸ばして行った。

 

 近接戦闘は、もう今は教えることはないとアッシュにお墨付きをもらえるくらいに技術を磨いていた。


 そして実戦戦闘は、草原とは反対にある森にいき魔物と戦闘してレベルを上げ、アイネと剣を打ち合うことで戦闘の駆け引きと技術を学んだ。


「レイは元の世界に戻ってすぐにレベル上げをするの?」


 そうアイネは問いかける。


「はい。私が煌星族ステラになるために必要な称号、煌星の旅人を入手する為の条件なんですから」


 その条件とは、レイが『元いた世界でレベルを上限まで上げる』と言うものだった。レイのいる世界では、最高レベルはおそらく999だ。


 今のレイのレベルは430だ。しかし< ≪星渡の旅人≫と言う称号は世界を移動する際、自分のステータスは保持されるがレベルは元の世界のレベルに戻る。つまりレイは今のステータスで元の世界のレベルから再スタートすることになる。


 「そっか、頑張ってね!次にいつ会えるかはわからないけど、君が目標に進み続けていたらいつかはまた絶対に会えるから」


 アイネが激励をレイに送る。そうしてみんなとの最後の夜が更けていくのであった。


 翌朝、レイはアイネと共に迎えの使者を待っていた。ニーナとアッシュは今回の会議は出席できないので、ここでお別れだった。


「またね!絶対また会おうね!」


「魔法の練習、サボっちゃダメよ」


 そういう二人と抱擁を交わし、そうしていると目の前に亀裂が入った。

 その亀裂から法衣のようなものを着用した男性が現れた。


「アイネ様、お迎えにあがりました」


「ご苦労様それじゃあレイ、いこう」


「わかりました!それじゃあニーナさんアッシュさん、絶対また会いましょう!」


 そうして私は二人に見送られながら、アイネと共に亀裂に入って行った。

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