第4話 とある少女は拾われる
突然視界が無機質な真っ白な神殿からいきなり夜の草原に変わったことでレイは混乱していた。
「ここは一体…… 違う階層? とりあえず死神もいないし、奇跡的に助かったのかな……」
そしてレイは辺りを見渡した。
周りには人の気配はなくただ満天の星空と草原が広がって、心地の良い風が吹いていた。
「とりあえず、辺りを探索して安全を確保しない……と……」
レイはこの場所から移動しようとしたが、死神から一先ず逃げ切れたという安堵から緊張が解け、その場に倒れ込んでしまう。
そしてどんどんと自分の意識が遠のいていくのを感じる。
(やばい……逃げ切れたといっても別に体力が戻ったり、傷が癒えたわけじゃない。このまま魔物が来ても逃げる……こと……も……)
抵抗虚しくレイはその場で気を失ってしまった。
◇◇◇
【???side】
「……不自然な大きい魔力が発生したと思って来てみたら、まさか人間だったなんて……それにしても意識はないしひどい傷だ。とりあえず連れて帰って手当てをしないと」
◇◇◇
(うーん……あれ……ここは……家の中? それに私が寝ているのはベッド? 体が動かせないから天井しか見えない……)
身を覚ましたレイは起き上がろうとするが体に力が入らず、身動きが取れなかった。
すると扉の開く音がした。そして銀髪の頭から動物のような耳が生えている女の子が私の顔を覗き込んできた。
「あっ!!目が覚めたんだね!!ちょっと待っててね!!」
そういうと女の子がとたとたと走って部屋を出て行った。
(ケモミミ生えてた……もふもふしてみたいな……)
そうして待つこと数十秒。複数人の足音が私の寝ているところに近づいてきた。そして部屋に入ってきてそのうちの1人に体を起こしてもらい、初めてその人たちと対峙した。
そこには先程私を覗き込んできた元気そうで可愛らしい銀髪で長髪の青色の目をしたケモミミ少女と、赤い髪に長いポニーテールでキリッとした黒い目をしていて、頭から黒い角が2本生えている美人な女の人がいた。
そしてもう1人は先ほどの2人もとてつもない美人だが、この人は神々しさを感じるほどに綺麗だった。 真っ白な髪に灰色の目で、髪型は肩にかからないほどのボブカットにしている見た目は同い年くらいの女の子のような見た目だった。
するとその白髪の人が私に話しかけてきた。
「急にゾロゾロと押しかけてきてごめんね。昨日不自然な魔力を感じ取ってその場所に向かったらあなたがボロボロで倒れていたんだ。それでそのまま放置すると死んでしまうと思ったからうちに連れてきて応急措置をして寝かせたんだ」
どうやら私はこの人たちに助けられたらしい。確かに体中に包帯が巻かれている。
私はひとまずお礼を言うことにした。
「死にかけのところを助けてくださりありがとうございます。私は日本人の氷川零と申します。レイと読んでください」
すると白髪の人が、
「どういたしまして。自己紹介ありがとう、私はアイネ。一応こう見えても神様って呼ばれている存在だよ。この銀髪の子が【神狼】のアッシュ、赤髪の子が【黒神龍】のニーナだよ。よろしくね」
「かっ神様!?それに他の2人は人間じゃないなんて……神狼に黒神龍なんて名前も聞いたことないですよ! ほっ本当に神様なんですか!?」
驚いたレイはアイネたちに問いかける。
「そうだよ〜一応神を名乗らせてもらってるよ」
「な〜にが一応神よ! アイネが神の中で1番偉いくせに」
アイネが答えるとニーナがそれに突っ込んだ。
そのやりとりを見ていたレイはニーナのツッコミが気になって仕方がなかった。
「あっあの! 神の中でってことは神はほかにもいるんですか?」
そう私はアイネ達に問いかけた。
「うーん、本来このことは普通の人間に教えることは良くないんだけど……説明しないと此処が何処かもわからないだろうし、私たちが出会ったのも運命ってことで教えてあげよう!」
そういうとアイネは、説明を始めた。
世界は数えきれないほどに存在しているらしい。
一つの世界を【管理者】と呼ばれる者達が複数で管理する。
その世界をまとめて管理する【下級神】がいてさらにその下級神をまとめる【上級神】がいる。
そしてさらにその位の上にはそれぞれ専門の役職と名前を持った【最高神】達がいるらしい。そしてその役職を持つ神の主がアイネだそうだ。
アイネは【剪定の神】という名前の役職で、世界で管理者ですら手に負えないイレギュラーな事象がたまに起きる。
アイネはそこに赴いて対処し、世界の状態を安定化させる役割らしい。
世界の管理者たちは基本、世界の中には干渉できない。しかしアイネは自由に世界に干渉ができる存在だそうだ。
そして他にも、神達が定期的に集まる会議のトップを担っているらしい。
アッシュとニーナはアイネが昔に世界を渡り歩いている時に拾ったらしい。そしてアイネの元で戦い方や生活を教わり、今は家族なのだそうだ。
そして今は剪定の神の仕事について行くために実力を磨いているらしい。
そこまでの説明を聞いていたレイはぐるぐると目を回し頭から湯気が出ていた。
「あはは……流石に混乱しちゃったよね。とりあえずもう少し休むといいよ、あとで食事を持ってくるから」
そうしてアイネは私を寝る体勢にした後、頭を軽く撫で2人と一緒に部屋を出て行った。
(なんか普通の優しい女の子みたいな人だったな)
そう想いに耽っていると睡魔が私を襲い、また私は眠りに落ちていくのだった────
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