第2話 とある少女は死を悟る
学校の授業が全て終わり、放課後になった。
私は、学校を出て渋谷ダンジョンに向かうことにした。
凪はテニス部に所属していて、部活があるため一緒には帰れなかった。
凪が部活のある日は基本ダンジョンに探索に行くことにしている。
部活が休みの日はよく一緒に遊びにいく。凪は運動が好きだからよくボーリングをして遊んでいる。
そうして渋谷ダンジョンの前についたら何やら入り口周辺が騒がしい。
聞き耳を立てているとどうやら凪の好きな配信者の一条とそのパーティーメンバーが配信外で探索に来ているらしい。
人混みの方を見ているとパーティーメンバーたちと一緒に一条がいて、何やらファンとの交流をしているようだった。
一条のパーティーは魔法使いが1人、盾を持ったタンクが1人、一条を含めた剣士が1人の合計4人パーティだった。
魔法使いと剣士の2人は女の子だった。それもなかなかの美少女で、その周りにはファンと見られる男子たちが、そして一条とタンクの人の周りには女子達が取り囲んでいた。
「人気者だなぁ」
そう言いながら私はダンジョンに入るために入り口前にある受付に向かう。
受付には探索者カードをダンジョンに入る前に提出する。
そうすることで現在入っている人を管理して、何かトラブルの際にはなるべく円滑に対処できるようになっているらしい。
私はソロでダンジョンに潜っている。私はたいして強くないし、凪以外に特別仲がいい友達もいない。
それに自分が勝てない階層には絶対に近寄らないようにしている。
私は15階層でよく魔物を狩っていて、ここが今の私の実力の限界だった。
第15階層、ここはブラックウルフがいるエリアだ。大きな森の中に魔物たちが住んでいて、この階層の利点はブラックウルフが群れで行動せず、単独行動しかしないためソロでも倒しやすいことだ。
私は人が少ない狩場を探して歩いていく。そうしているうちに狩場を見つけたので、そこに向かい魔物を倒し始めることにした。
「鑑定」
そうしてブラックウルフを鑑定した情報が記載された透明な板のようなものがレイの前に現れる。
ブラックウルフ
レベル20
スキル
≪俊敏≫
「よし!」
剣を抜いた私はブラックウルフに向かって走っていく。
ワォォォォン!!!
私に気づいたブラックウルフもこちらに向かって走ってくる
「アイスショット!」
氷魔法をブラックウルフの足元に撃ちそれをジャンプで躱し、こちらに飛びかかってきたところを狙い剣を振るう。
「やああ!」
そうしてその攻撃が見事にブラックウルフの腹を切り裂いた。
ブラックウルフはそのまま光の粒に変わり魔石を落とす。
その魔石を拾い収納する。
「よし、この調子でがんばろう!」
そうして私は魔物狩りを始めるのだった。
4時半からブラックウルフを狩り始め、2時間が経ち現在は6時半になっていた。
「そろそろ帰ろうかな」
大体20匹ほどを借り終えたところでいい時間になったので帰ることにした。
そして帰り道を歩いていると
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
という叫び声と共に森の奥からこちらに向かって誰かが走って来ていた。
叫び声があった方に目を凝らすと、
「あれは...一条のパーティー?」
奥から走ってきていたのは一条のパーティー一行だった。
なんで走っているんだろうと思っていたレイだったが、彼らの服装を見てすぐに察した。
彼らの服はボロボロで彼ら自身も傷だらけになっていた。
それをみたレイは只事じゃないと思い自分も
逃げようとする。
しかしすぐそばまで来ていた一条に追い抜かれる瞬間いきなり突き飛ばされる。
「きゃあ!!」
ゴロゴロと転がったレイはすぐさま起き上がって逃げようとするも、一条達が逃げていた方向から黒いモヤがすぐ近くまで来ていた。
そして、ふと突き飛ばしてきた一条のパーティーの方を見ると一条は逃げながらこちらをみてニヤリと笑い、そのまま走って行った。
レイは唖然とし言葉が出なかった。
ハッと自分の状況を思い出し立ち上がり、もう一度逃げようとしたレイだがもう目の前まで黒いモヤが来ていた。
逃げきれないと思った私は剣を抜き構える。
そしてその黒いモヤが変形して魔物へと変化した。
その姿を見てレイは
「死……神……」
そう呟いたのだった。
その魔物は巨大な鎌を持ち足がなく浮遊していた。
体は黒い布のようなものも纏っていて、まさしく死神という名に相応しい見た目だった。
そして私はスキルの鑑定を発動する。
???
lv測定不能
スキル
≪≫≪≫≪≫≪≫
このステータスを見た瞬間私は悟る。
これは確実に死んだ──────と
その刹那、いきなり辺りが真っ白に光る。あまりの眩しさに私は目を瞑る。
そして目を開けばあたりは真っ白な巨大な廊下だった。
そして廊下の先には巨大な扉があり、反対側は行き止まりだった。
通常ダンジョンは階層は階段で繋がっているがこの場所は階段が存在しない特殊な場所だった。
その扉の先にはおそらくさっきの死神がいる。逃げるにしても後ろには逃げ道もない。
この確実に詰んだ状況に、私は頭が真っ白になってしばらく動くことができなかった。
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