異界修行編
第1話 とある少女は機械音痴
「はぁ……はぁ……」
真っ白な神殿のような場所に1人の少女がいた。少女は剣を杖にしながらなんとか立っているがすでに満身創痍だった。
そして目の前には鎌を持った死神のような魔物がこちらに向かって来ていた。
(あれ……私なんでこうなったんだっけ……)
思考を巡らせようとしたが意識が朦朧として上手く頭が働かない。
(ええっと‥ああ‥そうだ……私はダンジョンに潜ってて...)
時は遡ること8時間前────────
◇
『さて!本日のニュースは渋谷ダンジョンにて、トップダンジョン探索者達のレイドパーティーが初めて五十階層を突破しました!』
「ふーん……すごいなぁやっぱトップは」
制服を着て朝食をもぐもぐ食べながら私は家族が見ているテレビを横目に見てつぶやいた。
私、
目的はお小遣い稼ぎで理由は下手なアルバイトより稼ぐことができるからだ。
───約五十年前突如として世界各地に現れたダンジョンは人類を大きく混乱させた。
中には未知の生物が存在していて、国はそれらを魔物と名付けダンジョン周囲に警戒体制が引かれていた。
しかし調査が進むにつれてダンジョンに入るとレベルとスキルが与えられ、ダンジョンを探索するとレベルが上がり、戦闘や鍛錬をする事で稀にスキルや称号が与えられることがわかった。
それとダンジョン内にはファンタジーさながらの宝箱があり、ダンジョン内の魔物を倒すと素材が落ちる。
それを知った各国はダンジョン産業が他国への抑止力になると考えた。
それから国はダンジョン協会を設立し、法を整備して一般人にダンジョン探索を推奨していった。
そうして、ダンジョンに潜る人が増えていき、探索者が立派な職業になった。
そして現在そのダンジョンを潜る様子を配信する≪ダンジョン配信≫が世界中で人気コンテンツになっている。
ダンジョンに潜り魔物を倒す様子は刺激的で、時に死人が出ることもある。
しかしそのスリルや探索するワクワク感が視聴者を集めている理由の一つであった。
今も賛否が別れているが国は新規探索者獲得のメリットの方が大きいと考え、ダンジョン配信を許可している状態であった。
そういう私も初めはダンジョン配信をしようとしていた。
だけど私は絶望的なほどの機械音痴で、スマートフォンは家族や友達との連絡にしか使えないし正直それすらも怪しい。
だから私は配信者を諦めて、探索だけを専門にして活動していこうと考えていた。
今は九月。初めてダンジョンに潜った四月から大体五ヶ月が経った。
現在の私のステータスは
(ニックネーム・レイ)
種族・人間
レベル25
スキル
≪氷魔法≫ ≪剣術lv.2≫ ≪格闘術lv.2≫ ≪鑑定lv.1≫ ≪異空間収納≫
称号
≪超機械音痴≫
こんな感じになっている。特に強いステータスでもなく一般的だと思う。
強いていうなら鑑定と異空間収納だ。でもこれはレアではあるけどダンジョンでドロップする魔道具で代用が効く。
ていうか超機械音痴って酷くない?何≪超≫って。まあ自覚あるんだけどさ……
「行ってきます」
そうして私は朝食を食べ終え学校に向かうため家を出る。
学校に着くと、
「おはよーレイ!」
と声をかけられる
「おはよう凪」
彼女は
ちなみに私は目は水色、黒髪で髪は肩にかかるほどのミディアムヘアーになっている。
凪とは入学式の時、前後の席で話すようになったのが仲良くなるきっかけだった。
「そういえばレイ! 昨日お勧めした一条様のダンジョン配信みた!?」
「いや、見れてないけど……」
「なんでよ! 昨日見てっていったじゃん!」
頬を膨らませぷんすかと怒ってくる。
「ごめん。でも見方がわかんなくって」
「あぁ‥そうだったこの子超が付くほどの機械音痴だったんだ……」
と凪はこっちを残念そうに見る。
「で、その一条様っていうのはどんな人なの?」
私がそう問いかけると凪は目を輝かせて
「えっとね! 一条様はね! 渋谷ダンジョンを拠点にした配信者でね!────────」
待ってました!といわんばかりに凪はそのユウ様について教えてくれた。
どうやらその一条というのは、私と同じ渋谷ダンジョンを拠点としている今人気のダンジョン配信者だそうだ。
イケメンで探索者としての実力もあるため男女問わず人気があるらしい。
凪は私に一条の戦闘シーンを見せてくれた。
彼の戦闘スタイルは剣を使い魔法で自分を強化する身体強化スタイルだった。
確かにとても強い、今の私じゃ足元にも及ばないだろう。
あと剣も見ただけでわかるようないいものをつかっている。羨ましい...
「確かに強いね。人気になる理由わかるかも」
「でしょでしょ! あぁ……一条様かっこいい……」
うっとりとした様子で凪は呟いていた。
「なかなかな心酔っぷりだね」
私は苦笑いしながら言う。
「レイも配信しなよ、一条様みたいなイケメンとコラボできるかもよ?」
「いやぁ... 私はイケメンとかに興味無いし、あと配信用のドローンも使い方わからなくて売っちゃったから」
「ええ〜レイめちゃくちゃ可愛いのに勿体無いなぁ〜」
「お世辞はいいよ」
「む〜お世辞じゃないのに!」
また凪は頬を膨らませて怒っていた。
それにしてもダンジョン配信か……
「私も強くなるために色々動画みようかな」
(確かこのアプリだったよね……これで私も動画を見て強くなるんだ!)
「いやレイ! それは電卓だよ!?」
…………やっぱり無理かも
■第一話をご覧いただきありがとうございます!
第一章はレイの修行に焦点を当てて書いていきたいと思っています。
第二章からは、たくさん活躍してもらおうと思っています!
ダンジョンでの配信活動は第3章からを予定しています!
なるべく毎日更新できるように頑張っていきます!
この話が面白いと思ったらハートで応援やコメントをしていただけると非常に励みになります!
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