第91話

昨夜。ゆるがよく行く近所のスーパー、コンビニ、ドラッグストアを回ったけれど、どこにも見当たらなかった。


営業時間終了直前のゆるのバイト先へ行き、しばらく待っていたけれど、出てこなかった。


何度電話をかけても出ない。でも警察や病院からの連絡もない。ということはおそらく、あの男と一緒にいる。




人探しは、2回目だ。もちろん前回もゆる。


ゆるが、学校で唯一俺にだけ懐いていることを知っていたのか、生徒指導の先生に呼び出され、〝白石がどこにいるか知らない?〟と聞かれたことがある。


知らねえよ。また男の家に行ってんじゃねえの。そう思ったが、先生にそんなことを言えるわけもなく、まあ一応気にもなるし、俺は俺で探すことにした。


その時は突然ひょっこり現れた。


というのも、夜コンビニへ出かけると、ゆると男がふたりでいるところを偶然見つけた。



なにやってんだと呆れながらも、1度手を差し伸べた猫がこのあと食われるとわかっていながら放ってはおけなかった。


明らかに俺より年上の男だったけれど、適当に誤魔化してゆるをそこから連れ出し、叱った。


それは、俺が初めてゆると喋ったあの日から、1ヶ月前後の話だった。




あの時は中学生。活動範囲なんて狭い。歩いていれば簡単にすれ違う世界。


でも今はそんなわけにもいかない。


あの男とゆるが再会してしまったのはバイト先。ゆるに会うには、そこしかない。

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