第80話



「……すっごくよかった……もう1度観たい……」


「な。てかあの犯人の声優気付いた?俺全く気付けなかったわ」


「わたしも。エンドロール見て驚いたよ」




しっかり2時間堪能した。わらわらとお客さんが帰っていく中に、わたしと真守も紛れて歩く。




「ねえ真守、予告で流れてたミュージカル映画観に行かない?」


「春公開のやつ?いーよ、行こ」


「やった!前に観たミュージカル映画の監督さんと一緒だったから気になるの。あとあれも、カップルの30日間のお話。あれは原作を小説で読んだんだけどね、当分余韻から抜けなくて大変だったんだよ。実写版はどうなるかな。それからドラマの続きも気になるし、観たいのたくさんあったな。真守はどれが気になっ」


「ゆる」


「、」




真守の顔を見上げながらぺらぺらと口元を動かしていると、迫り来る階段に気付かず、危うく踏み外しそうになった。


が、真守が腰を引き寄せてくれたおかげで事なきを得た。



ドッと跳ねた心臓をおさえて助けてくれた真守を見上げると、綺麗な目から呆れた光線を受ける。

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