第75話

黙り込んでしまった真守に、心臓が汗をかく。


あれ、やっぱりだめだった?この前は真守にぎゅってしてってわがままを言ったからしてくれただけで、わたしから抱き付いたわけではない。


さらに今日はほっぺにチューまでしてしまったし……。



恐る恐る体を離して、「まもたん……?」とふざけた愛称で様子を伺う。



と、真守はわたしの背中を引き寄せた。驚いて、真守の耳横で「わっ、」と声をあげてしまった。


首筋に埋まる真守の顔、掛かる息と刺さる髪がこそばゆい。




「ゆる。簡単に男に触れんのやめろって何回も言ってんだけど」


「だって、真守がどんな風になんて聞くから……」


「他にいくらでもあるだろ」


「わたしはこれなの。それにわたしにそんなことを聞いたら、こうなることくらい予想できたでしょ?」


「……」


「ほら。真守だって今わたしに腕回してるし」


「それは、まあそうだけど」


「ね。だから真守ならいいでしょう?」


「俺もだめだよ」


「ええ」


「でも」

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