第74話

「それって知りたいこと?」


「知りたいよ。ゆるのことならなんでも」


「なんでも?」


「うん。だから教えて」




整った顔に美しい完璧な笑みを乗せ、拭き上げたローテーブルに頬杖をつく。


「ゆーる」と呼び、やわらかい唇に満悦を添える。


……真守が機嫌がよくなったのならいいけれど。




「もう、真守が知りたいって言ったんだよ」


「ん?」


「あとから怒んないでね」




どんな風に、って。真守はわたしの気持ちが昂った時、どう体現するのか忘れちゃったのかな。


真守がいいのなら、わたしは遠慮なくさせてもらいますけれど。




「、」




だから、真守の頬にキスをした。触れるだけの、お姫さまのキス。もちろんすぐに離れる。


でもそれだけでは終わらずに、さらに真守の体に腕を回した。




「こんな風にだよ」


「……」


「わかった?すっごく喜んでるでしょ?ちなみに尻尾はぶんぶんだよ」


「……」


「真守?」

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