第70話
「なあに、心配?」
「うん。その子がね」
「……。最近雇った従業員。取引先の社長の娘だからあんま無下にできなくてこれでも困ってる」
「あ、そういうこと。たしかにそれは難しいかもね」
でもそれにしたって真守は基本的に優しいと思う。
まあ、あのファーストインパクトが最悪だったであろうわたしにすら、優しくし手を差し伸べてくれたんだもんね。
真守の優しさは、今に始まったことじゃないか。
飲み干した水のグラスに牛乳を入れ、なんとなく真守の視線に気が付きながらもそのままソファへ直行する。
すると、沈んだばかりのソファがほんの少し浮き上がった。
「あれ、お風呂は?」
「なあ、俺が女に優しくすんのいや?」
「? いやじゃないよ」
「1ミリも?」
「うん?うん」
首を横に倒して、縦に戻した。
「あー、そ」と、薄く開いた唇から小さな声を落とし、すぐにソファから退こうとする真守の手を咄嗟に掴む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます