第62話
でも、だめだ。眠い。眠すぎる。
5時間目にプールの授業を受けた6時間目の授業中くらい眠い。
暗い部屋でプロジェクターに映し出された学び動画を見ているときくらい眠い。
寝る前にカフェインを飲んだら眠れなくなるって聞くから、湯で粉を溶かすタイプのカフェラテを2杯も飲んだのに、わたしにはいつまで経っても効果があらわれない。
〝お母さんもう疲れた〟
ここにきて、唐突に嫌な記憶が脳裏に流れ込む。真守の匂いをぎゅっと抱きしめて、塗り替えた。
重い瞼に全てを委ねると、暗闇の中で、好きなように微睡み彷徨った。
どのくらいそうしていたかわからない。1分だったかもしれないし、1時間だったかもしれない。
でも、玄関から聞こえた音でパチっと目が開いた。
真守の布団を乱雑にソファに置き去りにして、すぐに玄関まで駆ける。
「おかえりっ!」
「っ、びっくりした。ただいま。起きてたの?寝ててよかったのに」
「ううんわたしが真守に会いたかったの」
「なあにゆるちゃん、寂しかった?」
「うん」
「はは、素直か」
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