第61話

「(まだかなあ)」



23時過ぎに【三軒目捕まった。遅くなる】とメッセージが届いてからもう2時間が経過した。


終電を逃しても真守ならタクシーで帰ってくるだろうし、たしか真守ってお酒に強かった気がするし、無事に帰ってこられるかの心配はない。



いつもならもう布団に入って目を瞑っている時間だ。起きて待っていなくても真守は怒らないし、なんなら起きていることに突っ込んでくると思う。



それでも眠らずに起きているのは、




「……会いたいな」




真守に会いたいから。おかえりとおやすみを言いたい。


なんなら頭を撫でてもらって、真守の優しいぬくもりをもらって、真守がいるってことを確認してから眠りにつきたい。



ソファで膝を抱え、真守の部屋から盗んできた毛布を背中から被る。


真守の匂いが、真守本人が隣にいるような気にさせ寂しさがまぎれる反面、同じくらい恋しくなる。


そんな気持ちを半分こずつ抱え、とにかく重すぎる瞼を持ち上げ、帰りを待つ。

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