第59話

「あ。今日の夜ご飯なにがいい?」


「え」


「え?」




不意に思いついた夜ご飯の話題。驚いた真守にこちらが驚く。


すると真守の顔が、徐々に気まずそうな表情に変わっていく。





「今日前言ってた創立記念パーティーの日だから飯いらない日」


「あ……そういえば言ってたかも。そっか、今日だったね」


「覚えてると思って出る前に言うつもりだったわ。ごめん」


「ううん。大丈夫だよ。うっかりしてた」




たしかに聞いた。創立記念パーティーがあるって。真守の会社が主催なのではなく、親しい会社のパーティーにお呼ばれしたんだとか。



でもね、こういう日の真守は、なるべくはやく帰ってくるように心がけてくれている気がするの。


今日以外にも、社長同士の付き合いで飲みに行く日はあったけれど、『遅くなるかも』と言いながら日付が変わるまでには帰ってきてくれた。


それはわたしがいるからなのか、はたまた真守自身、飲みの場が苦手で早く帰るようにしているのか、本当のところはわからないけれど。なんとなく前者な気がしている。だって真守だもん。



だから寂しい気持ちはあるけれど、絶対に帰ってきてくれるってわかっているから平気。

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