第51話

「でも1回出すごとに1万円ね」


「いいよ。白石さんとセックスできるなら」


「……もしかしてわたしのこと好きなの?」


「まさか。簡単に男に股を開く女は好みじゃない。ただ俺はいつもひとりでいるクラスメイトと放課後にセックスをするっていう遊戯がしたいだけだよ」


「……遊戯?」


「そ。白石さんは、その遊戯の相手にぴったりだから」


「……変な趣味」


「どうも」




その日、その放課後から始まったセフレという関係。


お金が発生するあたり歪ではあるけれど、わたしたちはあの頃、それぞれがそれぞれの欲を満たしていたんだと思う。







なんだかんだと続いた関係も、切れる時は一瞬だった。


わたしが【もう会わない】と送ったメッセージに、なんの疑問をぶつけることなく、【わかった】と。



どうしてわたしが突然、そんなメッセージを送信したのか。


それは、中学生の頃に『簡単に男について行くな。簡単に股を開くな』と、怒ってくれた真守に、水夢に噛まれた跡がばれてしまい、追求された結果『まじでやめろ』と2度目のお叱りを受けたからだ。



簡単に連絡が取れないよう、連絡先をブロック削除して、その日から今日まで一切の関係をなくしていたというのに。世間って、狭いね。

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