第50話

「じゃあ対価としてお金を渡すって言ったら?」


「……、」


「1回セックスするたびに1万円。もちろんコンドームはつけるし、お金が発生するからって無理な要求はしない。どう?」


「……」


白石さんの噂、、、、、、が本当なら、わりといい交渉だと思うけど」




〝白石さんの噂〟



はは、と声をあげて笑いたくなった。わたしはどこでどんな噂をされているんだろう。


ていうか、どうして話したこともない人間が、わたしの、家庭事情を知っているんだろう。……気持ち悪い。



――けれど、対価としてお金をもらえるなら、と。


その提案に簡単に揺れた自分が、一番気持ち悪かった。




気付けばわたしはボールペンを置いて、真っ直ぐにクラスメイトを見つめ、「いいよ」と承諾を口にしていた。

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