第48話

課題の提出忘れはうっかりミス。でもここを立ち去る理由はまだ欲しくない。


敢えてゆっくりと課題と向き合っていると、忘れものでもしたのか教室に入ってきたひとりのクラスメイト。


生憎わたしには気軽に挨拶を交わせるクラスメイトはいない。人がやってきたことを視界の隅に感じただけで、視線は下から動かさない。



すると、そのクラスメイトは真っ直ぐにわたしの前の席へとやってきて、突然、横向きに腰を下ろした。




「白石さん。中学の頃、男の家に泊めてもらう代わりにセックスしてたって話本当?」


「……突然なに?」


「気になって」




正直うんざりした。そうやって興味本位でわたしに声をかけてくる人は少なくなかったから。


今までは面倒で無視を徹底していたけれど、そういえばこのクラスメイトはわたしと同じでいつもひとりでいる。


ここで答えても、ばかみたいに噂が広がることはない気がした。

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