第39話

ちょうどいいタイミングで予鈴が鳴った。


あと10分後には本鈴が鳴る。早く教室に戻らないと、ここから1年の校舎までは結構な距離がある。




「わたし行くね。次会った時、絶対に逃げないでね!ばいばい!」


「わかったよ。じゃーね。ゆるちゃん」




まもりに背を向けひらひらと手を振って、少し先を行ったところで気が付いた。


最後、ゆるちゃんって言った?もしかしてわたしのこと知ってたの?



振り返ると、まもりはいなかった。


でも、わたしの中に刻まれたまもりという人間はそう簡単には消えない。








それからは、言ったとおり、見かけるたびに声をかけた。


そうしている間にいつの間にか親しくなっていて、ひと足先に高校生になった真守とも時間を見つけては共有した。


真守はいつもそばにいてくれた。きっと彼にとってはなんてことないことでも、わたしにとってはそれが光となった。



わたしの大好きな真守。


出会ってから10年経ち、23歳になった今でも、わたしは真守に救われている。


真守はわたしの光で、わたしを在るべき場所に導いてくれる人だ。

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