第25話
わたしはあれから、失業給付の手続きに行ったり職を探したり、次のステップへ動き出してはいる。
ただ警察からは連絡がこない。本当に首を長くして待つしか、わたしには方法がないみたい。
そして真守の帰宅時間は、平均19時から20時だということがわかった。
わたしの知っている真守はいつだって暇していたし(失礼)、仕事終わり一緒にご飯に行く時は、わたしの仕事終わりの18時過ぎには会っていたし。
けれど、あれは真守がわたしに合わせてくれていたんだということもわかった。
毎日一緒にいるとわかる。うん、真守ってしっかり社長だし、すごく忙しそうだ。
だから今日は、久しぶりに長い時間、真守との時間を満喫できている。
「ねえ、真守決めた?」
「まだ迷ってる。ゆるは?」
「明太子とチーズか、ミートソースとチーズか、カルボナーラにチーズか、……」
「ゆるの王道ばっかだな。じゃあそん中でひとつ抜くとしたら?」
「……えー……」
チーズリゾットの専門店にて。選べない。だってどれも美味しそうなんだもん。メニュー表を行ったり来たり、「どうしよう」を繰り返しながら頭を悩ませている。
と、まだ決まっていないのに、真守が店員さんの呼び出しボタンを押してしまった。
「待って!?」
すぐにやって来た店員さん。
間違えました、と言おうと思ったけれど、それより前に真守が、わたしが迷っていた3種類のリゾットを注文した。
食べるのはふたりなのに3人分のリゾットを注文したことに店員さんは少し困っているように見えたけれど、「それで合ってます」と愛想よく対応する真守に、最後は頬を赤らめた様子でホールへと帰っていった。
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