第21話

今の真守はちゃんと落ち着いてる。


それに女の子大好き芸人の学生時代だって、真守からではなく、寄ってくる女の子を対象にしていたこともわかっている。


まあね、真守だもん。モテないわけがない。




「でもまあ、そういうことになったとしても真守とならいいよ。なんなら今夜しちゃう?」


「するかばか」




おでこをぺちんと叩かれた。一応真守の名誉のために言っておくと、音だけで痛みはない。




「冗談だよ。真守とそんな関係になるのはさすがに気まずい」


「俺だってゆるに手出すほど女に困ってねえわ」


「え、それなら一緒に寝たってなんの問題も」


「だーめ。一緒には寝ない」


「も〜〜、どっちよ」




真守がわたしに欲情するわけないのに。


頑なに拒否する真守に疑問が浮かぶ。


ならどうして一緒に住もうなんて言ってくれたの。同じベッドで寝ないにしても、同じ屋根の下で暮らすってことはほとんど変わりないんじゃないの、って。


でもその疑問をぶつけるのはやめておく。


決してわたしも、真守とそういう関係になりたいわけじゃないから。




「とりあえず、新しいベッド買うまで俺のベッドで寝て。どうせ週末には買いに行くし、俺は3日くらい平気だから」


「はあい……。ごめんね真守、ありがとう。それでは遠慮なく使わせていただきます」

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