第2話 白とヒラメ山の噂
外は変わらず真っ白。
時刻は8時を過ぎようとしてる。
リコ「そういえばこの山ってなんでこんなに人気ないんだろう?」
たまサブ「この山に向かう手前の右に行く新しい道が出来たからじゃない?」
リコ「そっか。みんなそっちから違う山に行くようになったからかー。あっちに行ったらいっぱい山あるもね。」
たまサブ「それにこの山って、昔から良からぬ噂とか聞くし。」
リコ「噂?」
ナッツ「知らないの?」
リコ「うん。」
みっち「30年くらい前かな。今日みたいな霧の日に登山した人達の話。」
リコ「えっ!?もしかして…怖い話〜?」
ナッツ「まぁ、少々。」
リコ「……。」
みっち「その日も今日みたいに霧で、まだ建て替え前の古い山小屋だったこの場所に、それも今日みたいに男2人、女2人、合わせて4人のソロの登山者が続いて避難してきたの。」
ナッツ「ただ、今日と違ったのは冬前の寒い日だった事、霧がなくなっても天気は悪くなる一方だった事。」
リコ「なんか、これから怖くなるやつ〜?」
ナッツ「4人は丸一日ここに足止め。ただ、夜まではみんな元気だった。」
リコ「だった?」
ナッツ「夜になる頃外は嵐になって雨風が強く吹き荒れる中、ガシャーンっていう音と同時に木が倒れて窓を突き破った。」
リコ「えっ!、それで、どーなった?」
ナッツ「幸いみんな窓から離れてて、怪我もなく無事だった。」
たまサブ「詳しい話を聞くのは初めてだ。」
みっち「そーなんだー。」
リコ「みっちはこの話聞いた事あるの?」
みっち「うん。」
ナッツ「窓が割れて雨、風が入って来て、しかも冬前の夜。気温は恐らく0度とかだろうか。」
たまサブ「風が強いなら体感はマイナスだ。凄く厳しい状況。」
コンッ
リコ「キャー!」
たまサブ「大丈夫だよ。多分くるみか何か落ちてきて屋根にぶつかった音だよ。」
みっち「リコちゃんびっくりしすぎ!」
リコ「もーっ、だ〜か〜らー、タイミングがさ、マジでびっくりしたよー!」
ナッツ「大丈夫?話やめる?」
リコ「ここまで聞いてやめるとかナシ!」
ナッツ「それじゃあ。」
まだ外は白い中、ナッツは続けて話した。
ナッツ「厳しい状況だが、まだみんな冷静で小屋に常備してある毛布を4人寄り添ってかける事にしたんだ。」
ナッツ「そうして夜が明けた。」
リコ「みんな大丈夫だったの?」
ナッツ「ああ、朝になって天気も良く1人の女性が、『助かったー』って叫んだ。」
リコ「なーんだ。ハッピーエンドじゃん。」
みっち「それが…そうでもないのよ。」
たまサブ「そうだよね。噂になるくらいの話だからさー。」
リコ「でっ、でっ、どうなった!?」
ナッツ「その叫び声で反応したのは横にいた男1人だけ。」
リコ「え?あとの2人は?」
ナッツ「いなくなってたんだ。」
リコ「えっ!?」
リコ「どーゆー事?」
ナッツ「いなくなった2人を小屋の周辺探しまわった。でもいなくて。丁度その時、朝から小屋まで登ってきた数名の登山者が事情を知ってまず2人を連れて下山。」
リコ「じゃあ2人は下山できたんだ。いなくなった2人は?」
みっち「未だ行方不明よ。」
たまサブ「そこは噂で聞いた事ある。」
リコ「たまサブくん知ってるのってさ、そこだけじゃない?」
たまサブ「まぁ、そこからって感じかな。」
リコ「じゃあニュースとかになったの?」
ナッツ「その話も聞きたい?」
リコ「ここまで聞いたら、そりゃねー。」
みっち「その前に、少しおやつでも食べて休憩しない?」
ナッツ「おっ!いいねー。」
たまサブ「外もまだ変わらず真っ白で動けそうもないしね。」
リコ「それじゃあ、おやつ食べるかー。」
話もひと休みでおやつタイム。
霧はまだ晴れそうもない中、その話はまだまだ続きそうである。
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