六個目:オメガ、ついに町役場に行く
クロタ道場の朝は早い。
朝5:00にガラン師匠の号令が鳴り響き、目が覚める。
その後5:30にセボキ君が作ってくれた朝ごはんを食べて6:00から稽古が始まる
町役場は午前10:00から開くらしく、とりあえず俺は9:30まで道場で稽古をすることになった。
まずは基礎体力稽古である、とりあえず走ってこいと言われてエレクトルの城壁を1周させられた。ただ走るだけならまだいいのだが、たまにガラン師匠が殴りかかってくるため気を付けなければならない。気絶しない程度で殴られるのだが当たればめっちゃ痛いし吐血するからできれば当たりたくない(5回吐血済み)
そんな過酷な環境でも一緒に走っていたヒナノやセボキ君などは1時間で完走していた。
ちなみに、この城壁の長さはおそらく50kmほど。
…自動車かなんかか?
その後10分ほど休憩して打ち込み稽古に入った。稽古内容はシンプルで5人組を組んでガラン師匠に殴りかかるというもの
ジョブ能力の使用はあり、と言われたが英雄の卵がどういう能力を持っているかわかんないためとりあえず普通に殴り込んだ
結果はまぁ、言うまででもないが一緒に組んだヒナノやセボキ君そして初めて会話したリン君やマリアさんなんかは1分ほどガラン師匠と渡り合っていた。
今回組んだ4人はそれぞれこの道場のトップ4らしい。
そんな4人が一斉に殴りかかってきて1分で制圧できんの化け物すぎるだろ
そんなこんなで9:30になり俺はリーナと合流した後、町役場を目指していた
…何故かガラン師匠もいるけど
オメガ「師匠、道場開けてていいんですか?」
リーナ「そうだよ、あの子たちだけで大丈夫なの?」
ガラン「安心せい二人とも。あいつらはわしといつもやりあってるせいで弱くみえるが実際は一般的な大人が完全武装して集団で襲ってきても余裕で返り討ちにできるくらい強いんじゃ」
オメガ「えぇ…」
まあ、人力自動車とかいうパワーワードが生まれるぐらいだからなぁ…
ガラン「にしても、まさか英雄の卵がわしの弟子から2人も出るとは思わなかったわい」
オメガ「え?もう一人、俺と同じやつがいるんですか?」
もしかしたらいずきかたくやかもしれない
ガラン「嗚呼、それがリーナの父親じゃ。もう死んでしまったがのう…」
オメガ「…」
リーナ「やめてよガランさん、なんか重たい空気になっちゃうじゃん。それに私はもう自分のなかで区切りはつけたから気にしなくていいからね、オメガ」
…なんか、気を使わせちゃったな
オメガ「うん、ありがとう」
ガラン「お、着いたぞオメガ。ここが町役場じゃ!」
オメガ「ここが…」
…まるで国会議事堂のような外観をした建物が、そこにはあった。
リーナ「すごいでしょ。確か100年前の町長が設計したものだったはずだよ」
これを作ったのは本当にここの世界の人なのか?
いや、これを作ったのはおそらく日本人。それも建築家だ。でなければこんなに似たものは作れない
ガラン「町役場に見とれるのもいいがさっさと要件をすまそう。でなければセボキ達からどんどん差を付けられるぞ?」
オメガ「そ、そうですね」
分からないものはわからない。一度そう区切りをつけて町役場の扉を開けるのだった
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