四個目:夢のようで現実的

馬車から見える空はとても穏やかに見えた。ヨーロッパ風な街並み、雲一つない青空、昼時なため飲食店の客引きであろう人たちの大きな声

のどかだな


町役場に着く少し前にリーナはクロタ道場に寄り道しようとしていた

リーナによるとクロタ道場は約100年前に当時勇者と呼ばれていたジョブ持ちが設立した道場でリーナの弟も通っているらしい。ちょうど俺のステータスの文字化けについて聞きたかったし何より戦闘ができると思うととてもワクワクした

リーナ「失礼します、リーナです。ちょっと相談したいことがありまして」

???「おお、リーナか。どうした?それにそっちの若そうなもんは?お、なんだ?遂に許嫁を見つけたか?」

オメガ「えっと…」

リーナ「ちょっと、やめてよガランさん。こちらはオメガさん、ジョブ持ちなんだけどちょっと問題があって…」

ガラン「問題?どれ、ちょっくら聞いてやる。まあ、立ち話もなんだ、控室開けてやるからそこで聞こうか」


ガラン「なるほどなぁ…文字化けで自分のステータスが見えんと」

オメガ「はい…どうすれば治りますかね?」

ガラン「その前にだな、お前さん、確かオメガとか言ったな、オメガはジョブ持ちは先天的に身に着けられるものか後天的に身に着けられるものか、どっちだと思う?」

出されていた和菓子を口に放り込みながら聞いてきた

オメガ「それは…先天的に、ですか?」

リーナ「いや、後天的につくものじゃない?」

ガラン「二人とも正解じゃ、ただ後天的に身に着くもんは少のうがな」

ガラン「要するにだ、オメガ。おそらくお前のジョブはまだ覚醒しておらん、覚醒すれば文字化けも消えるはずじゃ」

リーナ「どうすれば覚醒するの?」

ガラン「それは人それぞれじゃよ、前にうちの道場で覚醒したやつはわしがボコボコにしたら覚醒したけどな」

オメガ「ボコボコ…されないっすよ」

ガラン「お、生きがいいな。いいぞ、わしお前みたいなやつ大好きじゃ。おっと、リーナの許嫁だったか」

リーナ「殴るよガランさん」

あははは…

そんなこんなでガランさんと一度手合わせすることになった。絶対に勝ってやる。


ガラン「さぁて、いっちょやるかぁ!」

オメガ「お願いします‼」

さて、どう来る…ジョブ持ちで道場だから空手系か?なら近づかれなければ…

オメガ「…ッ!?」

視界から、消えた!?一体どこn

ガラン「ここじゃ」

ドゴッ!!


……

………


オメガ「…ハッ!」

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…

何が起きた…?なんか横腹がいてぇし…

周囲を見渡すと横にはいずきに似た男の子が胡坐をくんで座っていた

???「あ、起きました?師匠~」

オメガ「あ、えっと、いずき…?生きてたのか?なんでここにいるんだ?」

???「え?いずき?いや、僕はいずきじゃないですよ。僕はセボキといいます」

オメガ「セボキ…?ごめん人違いだったかも…」

確かによく見れば若干いずきと違うところがある。身長も若干小さいし、何よりトレードマークともいえる星形のピアスをつけていない

セボキ「大丈夫ですよ、今師匠を呼んだのでもう少しお待ちください」

オメガ「あ、うん…君はこの道場に通ってるの?」

セボキ「はい、道場が持ってる寮に泊まって、毎朝そこから通っています。家にいると姉がうるさいので…」

姉…?もしかして…

オメガ「もしかしてお姉さんの名前ってリーナ?」

セボキ「え?あ、はい。もしかして姉を知っているのですか?」

オメガ「う、うん。ちょっと色々あってね、ここまで一緒に来たんだけど…」

セボキ「へぇ…もしかして彼s」


バンッ!


ガラン「おお、起きたかろk間違えたオメガ!手加減したとはいえ、わしの拳を受ける前にとっさにガードを発動するとは…まあ、貫通したんじゃがな」

オメガ「は、はぁ…」

今このジジイ六って言おうとしたか…?ま、気のせいか。それよりガードを発動?なんのことだ?

オメガ「あ、あの、ガードって何でs」

セボキ「師匠、また手合わせで一般人殴ったんですか?」

ガラン「おう!セボキ!こいつはすごいぞ!わしの特訓受けていればもしかしたら勇者になれるやもしれん!」

ゆ、勇者…!俺が、勇者!

セボキ「師匠」

ガラン「ん?なんじゃ?腹減ったか?確かに昼食とってなかったのう」

セボキ「あれほど、英軍者様から一般人を殴るなって言われてましたよね?」

英軍者様…?もしかして国お抱えのジョブ持ちのことかな…

ガラン「あ、すっかり忘れとったわい。すまんすまん」

セボキ「オメガさんが直前でガードできたからよかったものの、前にも道場破りが来たとき殴って全治1年の怪我負わせてましたよね?そんときあれだけ説教しましたよね?」

ガラン「いやぁ…それは、お前らを守るために…」

セボキ「言い訳は結構です。めっちゃウッキウキで相手してましたよね?罰として今日は晩ご飯抜きです」

ガラン「なぬ!?ちょっと待てセボキ!考え直せ!わかった、特上焼肉!な?!今日奢ってやるからさ!」

セボキ「…さっさと行きますよ」

ガラン「よし!ほれオメガ!おぬしも行くぞ!焼肉屋でオメガの歓迎会じゃ!」

オメガ「あ、はい…」

…歓迎会、俺この道場入るって言ったっけ?

そんな疑問を抱きながらもオメガが道場を出た時には夕焼けがとてもきれいな時間帯になっていたのだった


あれ?町役場は?

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