二個目:ここはだれ?俺はどこ?

…ぼんやりと目蓋越しで光が見える。腹のあたりに日光があたりポカポカする。段々と周りの音も聞こえてきた。すーすーと小さく可愛らしい寝息が足のあたりで聞こえる。…あれ?あいつらこんな感じの寝息だっけ?

段々と頭も回ってきた、あの時倒れたウスグラ廃病院はその名の通り薄暗く日光もほとんど入ってこない。なのにここは薄暗くもジメジメもしてない!必死に起きようとするも目蓋は開かないし体も動かない。まるで金縛りにあったような状態に陥っていた。

くっそ、どうすればいいんだよ…きっとたくやたちも同じ状況に違いない。早く起きてあいつら起こさないと!



チリンチリン…



六「はッ!」

鈴の音のようなものが聞こえた瞬間全身を悪寒が駆け巡った、風邪をひいたときのように体中が汗まみれで気持ち悪い

ゆっくり周りを見渡すと確認できたのは木造の家の一室であるということ。窓から入ってくる風が背中に当たり、寒気がした。

六「シャワー、行かなきゃ風邪ひくな…いや、もうひいてんのかな」

???「しゃわー?」

六「ん?うん、シャワーだけ…ど…」

???「すみません、私しゃわー?というものを知っていなくて…もしよろしければそのしゃわー?というものを教えていただくことは可能ですか?」

アイドル顔負け、なんなら漫画やアニメで出てきてもおかしくないくらいの茶髪の美少女が丁寧に聞いてきた。おそらくこいつが寝息を立てていた人だろう。俺たちを自分の家まで運んでくれたのか…?

六「すみません、どちら様でしょうか…?そしてここは一体…」

???「あ、えっと…私はリーナと申します。ここはパックス地方のナイマカという集落の私の家です。あなた様のお名前は…?」

リーナ…?パックス地方?ナイマカ?明らかに日本じゃない。とすると、たくやが言ってた異世界に行けるという話マジだったのか?たくやの話だと確か異世界では偽名を使った方がいいんだよな…それが本当かは知らんが

六「えーっと、俺の名前は~…あ!そう!オメガ!オメガっていうんだ!」

とっさに前ゲームのキャラクターにつけた名前を言った。オメガ、確か完璧な英雄になりたいとかでこの名前にしたっけ

リーナ「オメガ様、ですか?草むらで気絶されていましたけど何処からいらしたんですか?」

オメガ「えっとウスグラ村という小さな村から友達と旅をしに…あの、2人、一緒に倒れていませんでしたか?」

リーナ「すみません、オメガ様の他に倒れてらっしゃる方はいらっしゃいませんでした…お役に立てず申し訳ございません」

オメガ「いや謝らないでください!それに敬語もやめてください、タメ口で話していただいて大丈夫ですよ」

たくや…いずき…どこ行ったんだよ…たくや、すぐ死にそうだからなぁ…

リーナ「そ、そうですか?えっとじゃあ、オメガさんもタメ口でいいでs、あ、いいよ」

オメガ「ん?あ、そう?わかったじゃあリーナ、迷子の男一人と猪を捜すにはどうしたらいい?」


リーナによるとこの集落から北に少し行った場所にエレクトルという大きな町がありそこの町役場に聞きに行けばいいとのこと。場所も道もさっぱりなのでリーナもついてきてくれるとのこと、一人でいいと一度断ったのだが危なすぎると即却下された。女子に心配されるとかどんだけ俺ひ弱に見えんだよ。ともかく、昼食をとり、服を着替え次第早速出発することになった。

オメガ「待ってろよ、おまえら」


…オメガはまだ理解していないがここはたくやの言った通りお化けが沢山でる

’’異世界,,なのである。

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