第5話

「スタメンは昨日と同じで行く」

イロウエルさんがそう言った。俺はまた1番だ…

先頭は塁に出なければいけない、俺はずっとベンチ裏のトイレの鏡の前で自分に言い聞かせた。

隣で手を洗ていたソウタが

「一試合目良かったんだからまた頑張れよ。野球バカ」

と励ましてくれた。気を使わせちゃったな…

「ありがとう」

そう言って俺は顔を洗い、気合を入れた

なんだろう…確かに俺は思い込み過ぎていたのかもしれない。一大事な場面でエラーをしたから、ダメダメなんだと、そのせいで全然良くなかったと、思い込んでいた。

だけどソウタの言葉を聞いて緊張が解けた、よく考えれば同点タイムリーも打ったんだし!少し自信がついた。


「プレイボール!」

試合が始まった。後攻だから今はセンターにいる。初回は無失点に抑えた。

俺の打席ではソウタがすごく応援してくれた。その期待応えるために必死に打とうとした。

ソウタとは三年間あってなかったがお互い覚えていて嬉しかった。ソウタももしかしたら優勝していつもの世界に帰ろうとしているのかも!

そう考えるととてもやる気が出る。

「ボールフォア!」

先頭でフォアボールで塁に出れた。一塁ベースについてサインを確認すると、

「肩、帽子、肘…」

盗塁のサインが出た。盗塁なんか練習でしかしたことがないのに。

「バック!」

あ、やばい…俺は逆つかれた。

「セーフ!」

グランド全体にふぅという声が響いた。そして、しっかり盗塁もできた。今日は調子がいいのかもしれない!俺は少し嬉しかった。こうな感情になったことがないからだ。


9回裏2-0で勝っている。センターからピッチャーに変わった俺はとてもびびっていた。

「落ち着いていけよ」

キャッチャーがそういう。けど、流石に落ち着かない。先頭にストレートのフォアボールを与えてしまった。その次の打者は3番だ。今日はヒットを打っていた。

「こわい…こわい…」

ホームランで同点と考えると足がうまく動かない。

「キーン」

先っぽに当たった打球が三遊間に飛ぶ。ソウタが飛びついた。捕った!そして二塁に投げ、一塁に投げた。

「アウト!」

「俺に任せとけ!」

その時初めてソウタが心強く感じた。あとワンアウトで決勝に進める。

2ストライク2ボール、空振りさせたら三振で終わりだ!

「ストライーク!」

三振だ。

「え、あ勝った!」

勝った勝った!決勝進出だ!

頭の中が全部真っ白になった。

あと一回勝てば優勝か!

決勝まであと2日!絶対勝つ!


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天からの贈り物 ストラくん @sutora11

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