第4話 決意

「な…」

手が出ない。俺は試合が始まり先頭バッターでボックスに立った。相手の投手は轟洋二郎。生きているときはプロ野球で大活躍していた天才投手らしい。初球投げられたスライダーはテレビでも見たことがない。危ないと思いよけても、手元で10センチくらい曲がる。俺は何とか当てようとしてベースの近くに立った。二球目アウトコースのストレート何とか当てた。だが、前に飛ばない。ピッチャーフライだった。そして、試合は進み三回相手のバッターは二番の雷門平八郎だ。センターから見る景色は内野とは全く違う。なんだろう…球場全体が見える。

「カキーン!」

いい打球が左中間に飛んできた。俺はいけると、思い飛びついた

「これをとったらピンチをしのげる!」

グローブにボールが当たった。

「何してんだ!」

ヒナタのかすれた声だけが聞こえた。俺はグローブを見た。ボールが落ちていた。

緊張で焦りすぎていた。その後、ベンチに戻った。

「トラタ!あれは捕れただろ!回り込めよ!」

イロウエルさんの怒鳴り声がベンチに響いた。その瞬間母を思い出した。少し母が恋しくなった。でも、優勝するまで帰れない。俺は涙目でこう言った。

「絶対優勝してやる…!」

そして1対0で迎えた最終回。1アウト2塁で打席が回ってきた。打つ気持ちが強く初球はボール球を振ってしまった。

「落ち着け」

天使の声が聞こえた。深呼吸をした。

次の球はボールになり、次の球、

「おら!」

声を出して打った打球は三遊間抜けた。同点だ…俺は空に向かってこぶしを挙げた。

次のバッターのサンダルフォンさんが右中間に打った。

「まわれ!」

と、三塁を蹴ったときにコーチャーが言った。俺はとっさに走った。ホームベースを踏んだ。

「よっしゃー!」

逆転した!守備は無失点で切り抜け見事初戦を突破した。だが俺は試合が終わったあとベンチ裏で泣いていた。自然と涙が垂れる。とても親、家が恋しくなったからだ。

「お前ナイバッチ!」

と、ソウタが言った。でも俺は喜べない…ソウタはもうこの世界に慣れたらしい。

「なら俺らでこの大会優勝するか!」

ソウタはとても気分が上がっている。俺は絶対に優勝したい。だから、夜まで練習した。

「どうしたらもっと上手くなれるんだ…」

ずっとそう思いながら、ただただグリップがボソボソになったバットを握りしめて振っていた。

そして次の日クマだらけの目で球場に向かった。

そして今日もスタメン発表のための集合がかかった。

「集合!」

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